中央戯劇学院

中央戯劇学院：中国演劇界の殿堂

中央戯劇学院（Central Academy of Drama）は、1950年に設立された中国の国立大学であり、演劇教育の分野で卓越した地位を確立しています。略称は「中戯（Zhong Xi）」として知られています。

概要

上海戯劇学院と並び、中国を代表する演劇大学として名高い中央戯劇学院は、話劇（現代劇）俳優の育成をルーツに持ちますが、近年では京劇をはじめとする多様な演劇、演技芸術分野の教育にも力を入れています。その前身は、魯迅芸術学院（延安）、華北大学文芸学院、南京国立戯劇専科学校の三校に遡ります。

公式には、魯迅芸術学院を直接の前身とし、それに華北大学文芸学院、国立戯劇専科学校が合流したとされています。キャンパスは北京市東城区と昌平区に位置し、東城区のキャンパスは創立以来の地ですが、都市開発規制により手狭になったため、2012年に昌平校区が開設されました。

現在、昌平校区は学部1～3年生と大学院生が学び、学院の本部機能もこちらに置かれています。東城校区は主に4年生が使用していますが、京劇系など、一部のコースでは東城校区での授業はありません。

多様な学科構成

1950年代以来、表演系（俳優養成）、戯劇文学系（劇作家養成および演劇理論研究）、導演系（演出家養成）、舞台美術系（舞台美術、照明、音響、衣装、メークなどの専門家養成）の四つの学科が中心でしたが、21世紀に入り、電影電視系、戯劇管理系、戯劇教育系、偶劇系（人形劇）、舞劇系（ダンス）、音楽劇系（ミュージカル）、歌劇系（オペラ）、京劇系、戯劇学系などが次々と新設されました。

さらに、基礎教学部（外国語など教養課程）、影視芸術教育学院（成人教育）なども設置されており、少人数制教育を特徴としています。

卒業生と教育の特色

中央戯劇学院は、数多くの著名な俳優や映画監督、映画・演劇関係者を輩出してきました。入学試験、特に表演系は非常に競争率が高く、中国全土から集まる何万人もの俳優志望者が、演技力や表現力、正しい発音などを試されます。

かつての計画経済下では、全国の劇団や映画撮影所が必要とする俳優・スタッフの数を把握し、それに基づいて学生募集が行われていました。卒業生の就職も分配制で、学院と各劇団が協議して決定していました。しかし、市場経済化が進んだ現代では、学生は自力で就職先を探す必要があり、専攻と就職先が一致しないケースも珍しくありません。

近年は、「言葉のプロフェッショナル」を育成する機関として、海外からの語学留学生も積極的に受け入れていましたが、2020年以降のコロナ禍で留学生受け入れを一時停止しました。2022年秋からは専門課程の留学生受け入れを再開しましたが、語学留学はまだ再開されていません。

また、ミュージカル科は日本の劇団四季との関わりが深く、同劇団に入団し、日本の舞台で活躍する卒業生も増えています。

中央戯劇学院は、中国演劇界の発展に大きく貢献しており、その教育の質の高さは、国内外で高く評価されています。卒業生たちは、映画、テレビ、舞台など、様々な分野で活躍し、中国の文化芸術を牽引する存在となっています。

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