中央条約機構

中央条約機構（CENTO）

中央条約機構（ちゅうおうじょやくきこう）は、1979年まで存在した集団安全保障機関で、ソビエト連邦に対抗する目的で設立された反共軍事同盟です。この機構は中東地域での安全保障を強化するために重要な役割を果たしましたが、その存在はさまざまな歴史的背景や政治的動向と密接に関連しています。

沿革

中東条約機構の設立

中央条約機構の起源は1955年に遡ります。この年、トルコとイラク王国の間で相互防衛を目的としたバグダード条約が締結され、同年の11月にはイギリス、パキスタン、イランも参加し、中東条約機構（METO）として知られる集団が形成されました。この機構の本部はイラクのバグダードに設置されました。

アメリカ合衆国もオブザーバーとしてこの機構に参加し、ソ連に対抗するため中東諸国を取り込み、軍事や経済面での支援を提供しました。冷戦の時代において、特に中東での影響力の拡大はアメリカにとって重要な課題でした。

中央条約機構への転換

しかし、1958年7月14日にイラクで発生した7月14日革命により、イラク共和国のカーシム政権が中東条約機構を脱退しました。この状況を受けて、1959年3月24日に本部はトルコのアンカラに移転し、中央条約機構と名称が変更されました。

機構の機能と限界

この機構は、当初の設立趣旨に反して、実際には地域紛争への関与が薄かったことで知られています。印パ戦争や中東戦争など、重要な紛争においては一切の介入がなされず、特にキプロス紛争では、トルコとキプロスのアクロティリやデケリアを統治していたイギリス間の争いにも関わらず、機構としての解決策を提供することができませんでした。

そうした機構の限界は、時としてその存在意義を問われることになりました。1979年のイラン革命によってイラン帝国が崩壊し、その影響が広がる中、中央条約機構も最終的には解体に至りました。

まとめ

中央条約機構は、ソ連に対抗することを目的とした冷戦時代の反共軍事同盟として設立されましたが、実際にはその機能は限定的でした。地域における大国の利害関係が複雑に絡む中、機構の効果的な運営は難しく、多くの紛争に対する非関与がその運命を左右したと言えるでしょう。冷戦後の国際情勢の変化により、必要性を失い解体されましたが、その歴史は中東地域の安全保障を考える上で重要な教訓を残しています。

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