中居殉也

石川県珠洲市で生を受けた中居 殉也（なかい じゅんや）氏は、1972年5月14日にこの世に産声を上げました。後にプロ野球選手（捕手）としてその名を知られることになります。

野球との出会いは早く、地元の小学校に入学して間もない1年生の頃から白球を追い始めました。中学校に進むと、野球部に加えて3年間は相撲部にも籍を置き、二足の草鞋を履く多忙な日々を送りました。

1988年、石川県内の強豪校である金沢高校に進学。野球部での活躍は目覚ましく、在学中に甲子園球場の土を2度踏む機会を得ました。1年生だった夏の甲子園では、主に背番号8をつけ、左翼手として公式戦に出場しています。捕手としての才能が開花したのは2年生になってからで、この年から本格的にキャッチャーへ転向しました。2年生の夏の石川県大会決勝では、宿命のライバルである星稜高校と対戦。白熱した試合は延長戦にもつれ込みましたが、延長11回の攻防の末、サヨナラ負けを喫し、あと一歩のところで甲子園出場を逃しました。

秋季大会からはチームの主将という重責を担い、精神的な支柱としてもチームを牽引。そのリーダーシップの下、金沢高校は秋の県大会、そして北信越大会を見事に制覇しました。この優勝により、3年生となった春のセンバツ高等学校野球大会への出場権を獲得。甲子園では準々決勝まで勝ち進みましたが、最終的にこの大会で優勝を果たした近大附高校の前に惜しくも敗れ去りました。3年生の夏、最後の甲子園出場を目指した県大会決勝では、当時1年生ながら4番を打ち、後に国民栄誉賞を受賞する松井秀喜氏と、5番打者であった村松有人氏を擁する強力打線の星稜高校と再び対戦。雪辱を期しましたが、またしても星稜高校に苦杯をなめました。高校時代には、その強肩が当時のプロ野球スカウトから高く評価され、後の名捕手である谷繁元信氏以来とまで称賛されるほどの注目を集めていました。

高校卒業後、1990年秋のドラフト会議を経て、福岡ダイエーホークス（現在の福岡ソフトバンクホークス）にドラフト外で入団。プロ野球選手としてのキャリアをスタートさせました。入団当初の背番号は65（1991年～1995年）でしたが、残念ながらプロの一軍公式戦に出場する機会は得られないまま、1995年シーズンをもって現役生活にピリオドを打ちました。

現役引退後もホークス球団に籍を置き、チームのサポートに貢献しました。1996年から2006年までの間、ブルペン捕手や二軍コーチなどの役職を歴任し、若い選手の育成やチームの練習を支えました。この期間の背番号は、ブルペン捕手時代が117（1996年～2001年）、コーチ時代が74（2003年～2006年）でした。

2007年からは、新たに創設された独立リーグ、ベースボール・チャレンジ・リーグ（BCリーグ）に所属する石川ミリオンスターズに活躍の場を移し、コーチを務めました。この時の背番号は42（2007年～2008年）です。しかし、2008年9月4日には、体調を崩したことにより休養することが球団から公表されました。

その後、2021年現在は活動拠点を愛媛県に移しています。元プロ野球選手の石毛宏典氏が立ち上げた野球塾「野球道」の運営に携わる傍ら、少年野球チームで監督として未来ある子供たちの指導にあたっています。また、野球とは異なる分野でも活動しており、故郷である珠洲の名を冠した飲食店「珠洲岬」を経営するなど、多岐にわたる事業を展開しています。高校時代にプロのスカウトを唸らせた強肩と、球団スタッフや指導者として培った経験を活かし、現在も野球界との関わりを保ちながら、新たな挑戦を続けています。

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