中山七里 (小説家)

中山 七里について

中山七里（なかやま しちり）は、1961年に岐阜県で生まれた日本の小説家・推理作家です。彼は花園大学文学部国文学科を卒業し、幼少期から本に親しんできました。幼稚園に通う前から「作家になりたい」という夢を抱いていた彼は、子供の頃から読書に没頭し、様々な名作に触れました。

彼の成長と作家活動の開始

小学生の時期にアーサー・コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』やモーリス・ルブランの『アルセーヌ・ルパン』シリーズを読み、その後もアガサ・クリスティーやエラリー・クイーンなどのミステリーを楽しみました。1970年代半ばには映画『犬神家の一族』の影響を受けて、横溝正史や江戸川乱歩にも強い興味を持つようになり、さらには江戸川乱歩賞の受賞作品に触れることで自身の創作意欲が掻き立てられます。

彼は高校時代から自らも書き始め、小説新人賞に応募しましたが、大学時代に応募した「謝罪」という作品は予選を通過するものの、2次選考で落選しました。その後、社会人となり一時的に創作活動から離れますが、2006年に再び筆を取ることを決意しました。大阪での単身赴任の際、彼は憧れの作家である島田荘司のサイン会に参加し、その瞬間に「今でなければ一生書かない」と感じたことがきっかけでした。

彼はその後、ノートパソコンを購入し、20年ぶりに執筆を再開。最初の作品『魔女は甦る』は『このミステリーがすごい!大賞』に応募し、残念ながら落選しましたが、2009年には『さよならドビュッシー』で第8回このミステリーがすごい!大賞を受賞し、48歳で小説家としてデビューを果たしました。

独自の作風とテーマ

中山は幅広いスタイルの作品を手掛けており、音楽をテーマにした軽快なミステリーや、シリアスなサスペンスなど多岐にわたります。特に『さよならドビュッシー』から始まる岬洋介シリーズでは、クラス音楽を題材にしながらも、音楽知識が素人であることを逆手に取っています。彼はまた、作品で主人公が様々に入れ替わるスタイルを採用しており、出版社を越えて、物語の世界観や人物のつながりを持たせています。

そのスタイルの背後には、単に“犯人は誰か”を追求するだけではなく、動機や目的を探ることに重きを置いているという彼の思いがあります。作品の結末では必ずどんでん返しの要素が含まれ、彼は「どんでん返しの帝王」とも称されています。登場人物には共通点があり、成長過程を追うキャラクターが特に印象的です。

作品と影響

中山は作風を維持し、書き続けることが最も重要であると考え、迅速に読者の期待に応えることを心がけています。取材を行うことはせず、常に自身の記憶のアーカイブから物語のアイデアが湧き出ると語っています。そのため、彼の作品はしばしば独自の視点から展開され、興味深い読書体験を提供しています。

私生活では、エレクトーン教師の妻とともに子供たちと暮らし、趣味は映画観賞に熱中しています。彼の執筆環境にはシアタールームがあり、映画から多くのことを学んでいると公言しています。今後も中山七里の新作から目が離せません。

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