中山七里

中山七里とは

中山七里（なかやましちり）は、岐阜県下呂市の飛騨川中流に位置する渓谷を指します。この渓谷は木曽川の支流である飛騨川が急峻な山地を浸食してできたもので、その全長は約28キロメートルに及びます。帯雲橋から金山町の境橋まで続くこの地域には、奇岩や怪石が点在し、春には桜や岩つつじが色とりどりに咲き誇ります。また、夏にはホタルが舞い、秋には鮮やかな紅葉が渓谷を彩ります。これらの風景は訪れる人々を魅了し、観光地としての人気を誇っています。特に、「屏風岩」や「羅漢岩」、「孝子ヶ池」、「牙岩」など、名所が数多く存在します。

この地域は、飛騨木曽川国定公園にも指定されており、さらには「飛騨・美濃紅葉三十三選」にも選ばれています。自然の美しさが保護されており、近隣の下原ダムは渓谷の景観を守るために常に放水を行っています。特に、国道41号やJR高山本線が飛騨川に沿って通っているため、多くの人々が車窓からその絶景を堪能することができます。最寄りの駅は飛騨金山駅、焼石駅、下呂駅で、アクセスに便利です。

名称の由来

「中山七里」という名称は、豊臣秀吉の武将で飛騨一国の国主であった金森長近に由来します。彼は、飛騨街道の改良に着手したことから、この難所を約七里にわたって開通させました。これは、当時の道があまりにも不便であったためです。この歴史的背景が、渓谷の名前にも反映されています。

地質に関しても興味深い点があります。中山七里の岩体は濃飛流紋岩の溶結凝灰岩で構成されています。飛騨川はもとは下呂市の下呂地区から南東方向に流れていましたが、何らかの理由で南西へ流路を変えたと考えられています。これは、渓谷の形状や地形に大きな影響を与えた要因の一つです。

文芸作品としての中山七里

中山七里は、観光名所であると同時に、多くの文芸作品にインスピレーションを与えてきました。特に、戯曲、映画、テレビドラマなど幅広いジャンルで表現されています。1929年に発表された長谷川伸の戯曲『中山七里』は、江戸時代を舞台にした物語です。この物語では、木場の政吉が恋人と死に別れ、放浪の旅を続ける様子が描かれています。なんと、彼が助けた娘は元恋人の生き写しだったという展開です。この作品は、幾度も舞台化や映画化され、多くの人々に親しまれてきました。

また、新歌舞伎としても1929年に初めて上演され、後に数度の再演を重ねました。この作品には、多くの著名な俳優が参加しており、特に六代目尾上菊五郎の演技は評価されています。

映画版も3本制作され、それぞれ異なる制作会社によって公開されました。さらには、1972年にはテレビドラマとしても放送され、多くの視聴者の心を掴みました。

音楽の分野では、橋幸夫による1962年の歌「中山七里」が存在します。この曲は映画版の主題歌として作られ、広く一般に知られています。

まとめ

中山七里は自然の美しさだけでなく、その歴史や文化にも深い意味がある渓谷です。その景観は四季折々に変わり、訪れる皆を魅了します。また、文芸作品としても多くの創作がされるなど、様々な形で人々に影響を与えているこの地を訪れてみてはいかがでしょうか。

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