中山町 (愛媛県)

愛媛県中山町：自然と文化が織りなす記憶

中山町は、かつて愛媛県の中予地方に位置し、伊予郡に属していた町です。2005年4月1日に伊予市、双海町と合併し、自治体としての歴史を閉じましたが、現在も「中山町」という地名としてその名を残しています。

地理：肱川の恵みと山々に囲まれた自然

中山町は、松山市中心部から国道56号線を南へ約27km、大洲市中心部からもほぼ同距離に位置する、山間の町でした。中山川流域に沿って集落が点在し、周囲を標高800メートル級の山々が囲んでいます。中山川を境に、西側には中山集落、東側には出渕集落、上流部には佐礼谷集落が広がっていました。中心部には、役場跡を中心に公共施設や商店街、学校などが集まり、住民の生活を支えていました。

鉄道は、国鉄民営化直前に開通し、JR伊予中山駅が設けられ、地域住民の足として利用されていました。

歴史：変遷を経て伊予市へ

明治時代初期、中山町域は複数の県に属した後、下浮穴郡に編入されました。町村合併を経て1925年に町制を施行し、中山町が誕生しました。戦後の1955年には佐礼谷村と合併し、新たな中山町として再出発。2005年、伊予市との合併により、その歴史に幕を閉じました。

経済：農林業と地域産業

中山町の主要産業は農林業であり、特に「中山栗」は日本三大栗の一つとして知られています。その他、梅や畜産も盛んに行われていました。また、プラスチック製品製造、食品加工業、機械部品製造などの地域産業も存在していました。

文化と観光：自然と触れ合う

中山町には、特産品である栗を生かした「栗の里公園」や、そば打ち体験ができる「クラフトの里」など、自然と触れ合える観光スポットがありました。また、駅隣には物産センターがあり、地域の名産品を購入できました。漆地区の「漆梅祭り」や「栗祭り」など、地域独自の祭事も行われていました。

交通：鉄道と道路

JR予讃線が町内を通り、伊予中山駅が設置されていました。松山駅からは、内子経由の普通列車で約40分とアクセスは良好です。道路は、松山自動車道が通るものの、町内にインターチェンジはありませんでした。国道56号や複数の県道が地域を結び、人々の生活を支えていました。

人物：大塚節治

神学者であり、同志社総長を務めた大塚節治は、中山町の大塚家の養子となり、中山町に籍を置いていました。

現在の中山町

自治体としては消滅した中山町ですが、地域名としては伊予市中山町としてその名を残し、かつての面影を今に伝えています。豊かな自然と歴史、そして人々の営みが息づく中山町は、訪れる人々に安らぎと発見を与えてくれるでしょう。

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