中山秀三郎

中山秀三郎

中山秀三郎（なかやま ひでさぶろう）は、1865年1月21日に生まれ、1936年11月19日に没した、明治から昭和期の日本の土木工学者です。内務技師、逓信技師、そして東京帝国大学の名誉教授としても知られています。工学博士の学位を持ち、日本の土木工学の発展に大きく貢献しました。

生い立ちと初期のキャリア

中山秀三郎は、三河国額田郡奥殿村（現在の愛知県岡崎市奥殿町）で、中山善之進の三男として生まれました。1912年7月には、兄の眞琴の跡を継いでいます。1888年に帝国大学工科大学土木科を卒業後、関西鉄道会社で技師として2年間実務経験を積みました。その後、1890年に母校である帝国大学の助教授に就任しました。

研究と業績

1896年、中山は河海工学の研究のため欧米へ留学しました。帰国後の1898年には、帝国大学の教授に昇進しました。この間、帝国経済会議、学術研究会議、土木会議などの会員を歴任し、日本の土木工学の発展に尽力しました。また、1910年には内務技師を兼任し、臨時発電水力調査局に出仕、1918年には逓信技師も兼任するなど、港湾、水力発電、河川、砂防植林といった幅広い分野で活躍しました。

中山の業績の中でも特に注目されるのは、1899年に着工した横浜港埠頭工事での潜函工法の導入です。これは日本で初めての試みであり、その後の日本の港湾建設に大きな影響を与えました。彼の研究と実践は、日本の河川港湾学の発展に不可欠なものでした。

退官と晩年

1926年、中山は東京帝国大学を退官し、名誉教授となりました。1934年には帝国学士院会員に選ばれ、その功績が改めて認められました。

栄典と親族

中山秀三郎は、1900年に従六位、1912年には従四位を叙勲しました。妻のよしは、長州藩士で内務官僚であった中村孝禧の次女です。次女の幾は、文部官僚の河原春作と結婚しています。

参考文献

人事興信所『人事興信録 第4版』人事興信所、1915年。
人事興信所『人事興信録 第8版』人事興信所、1928年。
ルーブル社出版部 編『大日本人物名鑑 巻4の2』ルーブル社出版部、1921年。
高橋裕、藤井肇男 共著『近代日本土木人物事典: 国土を築いた人々』鹿島出版会、2013年。

中山秀三郎は、その卓越した知識と技術力で、日本の土木工学の発展に大きく貢献した人物として、後世に語り継がれています。

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