中山英二

中山英二：日本のジャズベース界を牽引する巨匠

中山英二（なかやま えいじ、1948年11月21日 - ）は、北海道札幌市出身のジャズ・ベーシストであり、現在は埼玉県熊谷市に在住しています。

概要

中山英二は、ジャズ・ベーシストとして国内外で高い評価を受けています。エルヴィン・ジョーンズ、ドン・フリードマン、リチャード・デイヴィス、ローランド・ハナ、ピーター・マドセンなど、数々の著名な海外アーティストとの共演歴を持ち、その卓越した演奏技術と音楽性は広く認められています。

また、「中山英二ニューヨーク・カルテット」を率い、ニューヨークの実力派ミュージシャンたちと長年にわたり活動を展開しました。作曲家としても才能を発揮し、自身のアルバムや演奏だけでなく、CM曲や他のアーティストへの楽曲提供も行っています。

来歴

17歳の時、友人のバンド練習を見学した際、歌を披露したことがきっかけで、ボーカルとしてバンドに加入。大手音楽事務所からのデビューの話はまとまらず、札幌に戻り、ジャズ・バンドに参加した際、偶然ベースを担当することになったのが、ジャズの世界に入るきっかけでした。

独学でベースの腕を磨いた後、札幌交響楽団のコントラバス奏者に師事し、音楽の基礎を改めて学びました。1979年に上京し、1982年に今田勝らをゲストに迎えたデビュー・アルバム『北の大地』を発表しました。

1982年12月から1983年にかけて、エルヴィン・ジョーンズ率いるリズムマシーンに参加。1986年から1990年には、ドン・フリードマンとのデュオ・ツアーを6回にわたり行い、『Conversation』『Far Away Land』『Sweet View』『Legend of the Lake』といったデュオ・アルバムをリリースしました。

1990年には、「中山英二ニューヨーク・カルテット」を結成。エリオット・ジグムンド（ドラム）、ディック・オーツ（アルト・サクソフォーン）、ピーター・マドセン（ピアノ）といったニューヨークの実力派ミュージシャンを迎え、オリジナル作品を制作し、1991年から1997年にかけてツアーを行いました。『ザ・デイズ・オブ・ドリーム』『ロマンティックブルー』『シンクロニシティー』という3作のリーダー作を発表し、ライブ収録のビデオも同時発売しました。同年には、リチャード・デイヴィスとのベース・デュオ・ツアーを行い、ローランド・ハナ率いる「チャンバー・ジャズ・トリオ」にもゲストとして参加。2002年まで7回のデュオ・ツアーを行い、ハナのリーダー作『Memoir』『Hush A Bye』のレコーディングにも参加しました。

1998年7月には、11作目のアルバム『NANGO』を発売。デビュー・アルバム『北の大地』以来、16年ぶりに日本人ミュージシャン（大倉正之助）との共同作品となりました。

2000年11月には、ローランド・ハナとのデュオで6回目の日本ツアーを行いました。

2001年以降は、「ジャズとクラシックの融合」をテーマに、クラシック・ヴァイオリンやフルートとのデュオ活動や、日本の伝統楽器である琴や尺八とのセッションに挑戦。同年10月には、日本人メンバーによるカルテットでライブ収録したアルバム『オールド・カントリー』を発表しました。

2002年6月には、ヴァイオリニスト・硲美穂子の初リーダー・アルバム『ハートストリングス』をプロデュースし、アレンジとベーシストとしても参加。同年10月には、ローランド・ハナとの7回目のデュオ・ツアーを行いましたが、ハナの体調不良により3カ所のみの公演となりました（ハナは同年11月13日に逝去。中山が最後の共演者となりました）。

2003年6月には、ローランド・ハナの追悼の意を込めて、ハナの息子であるマイケル・ハナを招き『メモリアルコンサート』ツアーを行いました。

2004年3月には、ピーター・マドセンとのデュオ・アルバム『Eiji's Mood』を発表。2005年3月には、マドセンとのデュオ・ツアーを開始。同年8月には、マドセンとのデュオ・アルバム『WHIRLING OF THE WIND（風の舞）』を発表。10月から11月にかけて、マドセンを再び招きアルバム発売ツアーを行いました。2006年9月～10月、2007年9月にもマドセンとレギュラー・ユニットとしてデュオ・ツアーを行いました。

2022年2月には、ローランド・ハナ、ドン・フリードマン、ピーター・マドセンとの共演作をフィーチャーしたコンピレーション・アルバム『EVER and EVER』をリリース。

2023年10月、筝奏者武田明美、フルート奏者北沢直子とグループネーミング「ENATONE」を結成し、3人の共作アルバム『濤』をリリースしました。

人物

料理が得意で、交流のあるミュージシャンを自宅に招き、創作料理を振る舞うことがあります。スキューバーダイビングのライセンスも取得しており、ダイビング歴は約40年。少年時代にはボクシング経験があり、世界チャンピオンを目指していた時期もありました。アルバムの制作だけでなく、数多くのアルバム・プロデュースも手がけています。

ディスコグラフィ

リーダー・アルバム

『北の大地』（1982年）
『ザ・デイズ・オブ・ドリーム』（1991年）※中山英二ニューヨーク・カルテット名義
『ロマンティック　ブルー』（1993年）※中山英二ニューヨーク・カルテット名義
『シンクロニシティー』（1995年）※中山英二ニューヨーク・カルテット名義
『NANGO』（1998年）
『いつか見た瞬間（とき）』（1999年）
『オールドカントリー』（2001年）※ライブ盤
『Eiji's Mood（エイジーズ・ムード）』（2004年）※with ピーター・マドセン、ライブ盤
『A Lasting Cry of My Soul（遥かなる想い）』（2008年）
『Aya's Samba（アヤのサンバ）』（2010年）※デビュー前の1978年の音源の復刻盤
『My Present Song』（2010年）※デビュー前の1978年の音源の復刻盤
『EGENETO』（2011年）
『Beyond My All（私のすべてを超えて）』（2014年）
『How I Miss You』（2017年）
『EVER and EVER』（2022年）※コンピレーション

デュオ・アルバム

ドン・フリードマン

『Conversation』（1986年）
『Far Away Land』（1987年）
『Sweet View』（1988年）
『Legend of the Lake（湖の伝説～レジェンド・オブ・ザ・レイク）』（1988年）

ローランド・ハナ

『Memoir』（1990年）
『Hush A Bye』（1997年）
『Last Consert』（2002年）※ハナの最後のコンサートツアーを収録したライブ盤。ハナと中山とのデュオの他、ハナと硲美穂子（violin）とのデュオ、ハナ・中山・硲のトリオ作品を収録

ピーター・マドセン

『WHIRLING OF THE WIND（風の舞い）』（2005年）※with 山口友生 (g)

トリオ・アルバム

『World Triangle』（2013年）※with ピーター・マドセン(p) 、ギュンター・ヴェーヒンガー(fl)
『濤（とう）』（2023年）※武田明美（筝）、北沢直子（fl）とのトリオ「ENATONE」名義

プロデュース

ドン・フリードマン『MEANT TO BE』
リチャード・デイヴィス『Persia My Dear』
ローランド・ハナ『Last Consert』
硲美穂子『ハートストリングス』
中島心『AGEHA』『Soul Woman』
加藤大智『First Connection』『On The Way of My Life』『Don' t Step Go Azhead』
関口聖岳『無想』
武田明美『深い海の色の』
渡邊仁『和仁伝』
三上志織『Our Ship』
山下一樹『The Other Me』

外部リンク

Jazz Bassist Eiji Nakayama
中山英二 - Discogs（英語）

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