中島式一型複葉機

中島式一型複葉機

中島式一型複葉機（なかじましきいちがたふくようき）は、1918年に中島飛行機製作所によって製作された日本の航空機である。この機体は、本来大日本帝国陸軍向けの試作機として計画されたが、最終的には陸軍への納入は行われず、民間の試作機としての運命を辿った。

経緯

1917年12月、中島知久平は海軍を退役し、その後「飛行機研究所」を設立した。彼は陸軍向けの試作機として、「中島式一型陸上機」の開発を始めた。このプロジェクトには、佐久間一郎や奥井定次郎といった技師たちが関わり、設計が進められた。

1918年4月に「中島飛行機製作所」に改名し、同年5月には再度「日本飛行機製作所」と改名。さらに、同年7月には試作一号機が完成した。しかし、初飛行は尾島飛行場で行われたものの、離陸直後に墜落してしまった。

修理後の二号機も再び墜落事故に見舞われる。この事故からの修理作業中、テストパイロットであった岡楢之助の提案により機体の小改造が施され、三号機として再び空を飛ぶことができた。しかし、着陸時にまたしても事故が発生し、修理を経て四号機となった。最後の試験飛行では、またもや機体故障が発生し、利根川に墜落した。この事故でテストパイロットは重傷を負ったが、その後の修理は行われず、結局陸軍に納入されることはなかった。

設計

中島式一型複葉機の設計は、木製の骨組みに羽布張りを施したもので、降着装置は固定脚を採用していた。また、エンジンには陸軍から払い下げられたホール・スコット製のものを利用していた。しかし、その操縦の難しさの一因となったのは、設計時の重心位置の測定の誤りであり、結果として機体がテールヘビーになってしまった。このため、当時のパイロットにとっては扱いづらい機体となってしまった。

さらに、海軍向けに中島式二型水上機の開発も計画されていたが、一型機の修復に必要な資材が取り上げられたため、実機は製作されることはなかった。

諸元

この航空機の基本的な仕様は以下の通りである：

• - 全長: 8.00 m
• - 全幅: 15.00 m
• - 全高: 3.00 m
• - 主翼面積: 45.0 m2
• - 自重: 800 kg
• - 全備重量: 1,200 kg
• - エンジン: ホール・スコット A-5 水冷直列6気筒（最大130 hp）×1
• - 最大速度: 120 km/h
• - 実用上昇限度: 3,000 m
• - 航続時間: 4時間
• - 乗員: 2名

このように、中島式一型複葉機は日本の航空機の歴史において重要な位置を占めており、その試行錯誤や事故にまつわるエピソードは、航空機技術の発展に寄与する重要な教訓となった。

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