中島式五型練習機

中島式五型練習機について

中島式五型練習機は、大日本帝国陸軍によって使用され、日本国内で初めて正式に採用・量産された航空機として位置づけられています。この機体は、中島飛行機が民間向けに開発した中島式三型複葉機の設計経験を生かしており、1900年代の航空技術の発展の中で重要な役割を果たしました。

開発の背景

この練習機の開発は、大正8年（1919年）のことから始まります。中島飛行機は、陸軍に納入されることがなかった中島式一型複葉機の失敗を教訓に、新型練習機の開発に取り組むこととなります。佐久間一郎技師が主導したこのプロジェクトでは、実際に国内の航空機設計の進歩を反映する形で初期の設計が行われました。

同年5月、陸軍の審査で好成績を収めた中島式四型が中島式五型の基礎となり、設計にはスタンダード H-3やアルバトロス C.IIといった海外の機体も参考にされました。1920年4月には試作機が試験飛行を行い、好成績を残したため、陸軍はさらなる100機の発注を決定しました。この結果、1921年5月までに118機が製造され、陸軍の各航空隊や飛行学校に配備されました。

運用と問題点

中島式五型は、練習機としてだけでなく偵察機としても使用されました。しかし、運用中に判明した翼型の設計誤差による失速特性の悪化や、1920年に発生した空中火災の事故が影を落としました。その結果、陸軍はこの機体の使用を停止し、以後は外国製機体の配備に力を入れることとなりました。

さらに、中島式五型は改修の後に民間に払い下げられ、多くの民間飛行学校で運用されました。郵便飛行競技会でも数多くの成功を収めましたが、同時に事故も多発しました。1920年から1927年の間に、5機が墜落し、7名の乗員が命を落とすという痛ましい結果も残しました。民間での運用は大正末期まで続きましたが、その後安全面からの問題が顕在化し、徐々にその役割を終えることとなります。

設計と特性

中島式五型は、木製の骨組みに羽布張りの複座複葉機であり、降着装置は固定脚の仕様となっています。試作機には125馬力のホール・スコット製エンジンが搭載されましたが、量産機では150馬力の「A-5a」が使われ、性能が向上しました。

また、設計の進展により、いくつかの派生型が民間向けに開発され、その中の一つとして、機体構造の強化と出力向上を図った中島式六型も存在しています。この機体は特に郵便飛行競技での記録を樹立するなど、その運用性能が高く評価されました。

諸元と結論

中島式五型の主な諸元は以下の通りです：

• - 全長：7.595 m
• - 全幅：12.842 m
• - 自重：780 kg
• - エンジン：ホール・スコット A-5a 150馬力
• - 最大速度：136 km/h
• - 巡航速度：110 km/h

このように、中島式五型練習機は日本の航空史において重要な位置を占める機体であり、技術的な進歩を示すものでした。その運用における難しさや民間での成功も含め、歴史的な意義を持つ機体として記憶されています。

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