中島道男

中島 道男（なかじま みちお）は、1954年3月6日に島根県で誕生した日本の社会学者です。

学究生活は、1977年に京都大学文学部哲学科を卒業したことに始まります。大学では社会学を専攻し、その後、同大学院文学研究科の博士課程へと進みました。しかし、1981年にこの課程を中途退学しています。

大学院中退と同年の1981年、奈良女子大学文学部に助手として着任し、教育・研究者としてのキャリアをスタートさせました。その後、順調に昇進を重ね、1983年には同学部の講師に、1988年には助教授となりました。そして、1999年には教授に就任し、以降、同大学で社会学の研究と教育の第一線に立っています。

中島氏の研究は、主に古典的および現代の重要な社会思想家たちの著作と思想の深掘りに向けられています。特に、社会学の祖の一人であるエミール・デュルケムの理論には深く傾注しており、1997年には『デュルケムの<制度>理論』を恒星社厚生閣から刊行しています。さらに2001年には、シリーズ世界の社会学・日本の社会学の一冊として、デュルケムの思想を体系的に紹介・分析した『エミール・デュルケム 社会の道徳的再建と社会学』を東信堂から出版しており、デュルケム研究における重要な業績として位置づけられます。

また、現代社会論における第一人者であるジグムント・バウマンの理論にも着目しています。2009年に青弓社から刊行された『バウマン社会理論の射程 ポストモダニティと倫理』では、ポストモダニティにおける倫理の問題を、バウマンの視点から鋭く分析しました。この著作は、バウマンの思想を日本に紹介し、その応用可能性を探る上で重要な貢献を果たしています。バウマンの著作としては、2007年に昭和堂から翻訳書『廃棄された生 モダニティとその追放者』を世に送り出しており、これも中島氏がバウマン研究に深く関わっていることを示しています。

さらに、政治哲学者ハンナ・アレントの思想にも関心を寄せています。2015年には、アレントの思想の核心に迫る『ハンナ・アレント 共通世界と他者』を東信堂から出版しました。アレントが問い続けた「共通世界」のあり方や、他者との関係性といったテーマは、現代社会が直面する多くの問題、特に他者との分断や公共性の危機といった状況を考える上で、非常に重要な視点を提供しています。

近年では、日本の思想家である清水幾太郎の研究にも取り組んでおり、2023年には『清水幾太郎の闘い』を東信堂から刊行しました。清水幾太郎の思想や行動を深く掘り下げることで、戦後日本の思想史や社会状況に対する新たな理解を提示しています。

このように、中島道男氏は、デュルケム、バウマン、アレントといった西洋の主要な社会思想家から、日本の思想家に至るまで、幅広い対象を深く研究し、その成果を多くの著作として発表しています。これらの研究を通じて、現代社会が抱える構造的な問題や倫理的な課題に対して、古典的・現代的な思想資源を活用しながら考察を深めており、社会学の発展に貢献しています。奈良女子大学の教授として、後進の指導にも尽力しています。

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