中川謙二郎

中川謙二郎は、1850年（嘉永3年）に京都府で生まれ、1928年（昭和3年）に没した教育者・文部官僚です。西園寺公望の誘いで東京開成学校（現在の東京大学）で学び、1901年（明治34年）には文部省視学官に就任しました。その後、新潟学校、学習院、東京女子高等師範学校（現在のお茶の水女子大学）で教鞭を執り、校長も務めました。

特に、仙台高等工業学校（現在の東北大学工学部）の初代校長としての功績は大きく、日本の工業教育の基礎を築きました。中川謙二郎は、教育者としての活動だけでなく、著述家としても多くの業績を残しました。『訓蒙化学』や『婦人の力と帝国の将来』などの著書は、当時の教育や社会に対する彼の考え方をよく表しています。また、『理科読本』などの翻訳書も出版し、日本の科学教育の発展に貢献しました。

中川謙二郎は、甥の中川小十郎（立命館大学創立者）や大甥の流政之（芸術家）など、親族にも著名な人物がいます。彼は、1884年（明治17年）に従七位、1900年（明治33年）に従五位、1912年（明治45年）に従四位に叙せられ、1918年（大正7年）には錦鶏間祗候に任じられるなど、その功績は高く評価されました。

中川謙二郎の教育者としての功績は、日本の近代教育の発展において重要な役割を果たしました。彼の教育に対する熱意と、社会に対する深い洞察力は、後世に大きな影響を与えました。著書や翻訳書を通じて、当時の社会や教育に対する彼の考え方を垣間見ることができます。また、彼が校長を務めた学校は、現在でも日本の教育を支える重要な機関として存在しています。中川謙二郎は、日本の教育史において忘れることのできない人物の一人です。

主な役職

共立女子職業学校（共立女子中学校・高等学校の前身）校長
仙台高等工業学校（東北大学工学部の前身の一つ）初代校長
東京女子高等師範学校（お茶の水女子大学の前身）校長

主な著書

『訓蒙化学』(1881年)
『簡易化学器械』(1891年)
『婦人の力と帝国の将来』(1925年)

主な訳書

『理科読本』(1886年)

関連情報

お茶の水女子大学デジタルアーカイブズ - 肖像写真などが閲覧可能。

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