中曽根裁定

中曽根裁定の歴史的意義

中曽根裁定（なかそねさいてい）は、1987年10月20日に日本の自由民主党の総裁選で、中曽根康弘が党幹事長の竹下登を次期総裁に指名した出来事を指します。この選定は日本の政界における大きな転換点であり、党の内政や外政に深く影響を及ぼしました。

経緯と背景

中曽根総裁は1986年9月に任期満了を迎える予定であり、当時は総裁の3選が禁止されていました。そのため、「ポスト中曽根」とう言葉が政界を賑わせ、次期総裁選が注目されていました。しかし、1987年7月の衆参同日選挙で自民党が圧勝したことから、中曽根の3選が検討され、党内で意見が割れました。世代交代を望む一部の声もあり、最終的には1年の特例延長で中曽根の総裁任期を続けることが決まりました。

この間、候補者には安倍晋太郎、竹下登、宮澤喜一といった顔ぶれが名を挙げ、特に安倍は当時の派閥内で注目されていました。しかし、派閥間の支持の争いが続く中、田中派からの二階堂進の突如の出馬表明は、状況を一変させました。

候補者の整理

1987年10月に入ると、安倍、宮澤、竹下の3候補による統一選出のための話し合いが開始されました。同年10月7日、二階堂は出馬の断念を余儀なくされますが、その影響で選挙は無投票で終わる可能性が高まっていきました。竹下は存続を望む声もあり、彼の存在がますます注目されました。

一方で、安倍、宮澤は話し合いが進む中で、最終的には中曽根が候補者の最大の選定権を持つこととなりました。中曽根は福田赳夫や鈴木善幸とも相談を重ねながら、次期総裁の選出を進めました。

裁定の発表

1987年10月20日、ついに中曽根は自民党の次期総裁として竹下を指名します。この選定は、当時の国際情勢や国内政治を考慮した結果であり、中曽根にとっても大きな意味を持つものでした。指名の発表を受け、竹下は党内での支持を得て、新内閣を切り盛りすることになります。

竹下内閣の形成

裁定の結果、竹下は自民党内で大きな支持を受け、竹下内閣が成立しました。この内閣は、党内の主流派をさまざまな政治的配慮をもとに組織され、特に非主流派の閣僚が含まれない初の内閣となりました。その後のリクルート事件は、竹下政権に多大な影響を及ぼすことになります。

中曽根裁定の影響

この裁定がもたらす影響は非常に大きく、特に安倍晋太郎の政権への道筋に暗い影を落とすことになりました。安倍は病に倒れ、政界から去ることになり、その結果中曽根裁定は彼の成功する機会を奪ったとされます。

中曽根裁定は、日本の政治史における重要な瞬間と見なされ、後の自民党の内紛や政局の動きにも影響を及ぼした出来事でした。

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