中村仲助

中村仲助 ― 歌舞伎役者名跡の系譜

中村仲助は、歌舞伎界における由緒ある名跡です。初代から七代目まで、それぞれの襲名者には個性豊かな経歴があり、歌舞伎の歴史を紐解く上で重要な役割を担っています。本稿では、各代中村仲助について詳細に見ていきましょう。

初代 中村仲助

初代中村仲助の出自は、三代目中村歌右衛門の門弟という記録が残されています。生没年は不明ですが、1841年に没したとされています。当初は初代藤川友吉に師事しており、その後、初代中村橋之助を経て中村仲助を襲名しました。その後も、加賀屋歌七、松鶴屋歌七、中村四郎兵衛と名跡を変えながら歌舞伎界で活躍しました。

二代目 中村仲助

二代目中村仲助は、三代目中村歌七の養子でした。俳名として慶雀、飛鶴を用い、屋号は松鶴屋でした。本名は秋田七賀助で、1817年から1881年まで生きたとされています。初代阪東壽三郎を師として、その後、中村仲助を襲名。さらに、四代目中村仲蔵、中村七賀助、四代目中村歌七と名跡を継承していきました。

三代目 中村仲助

三代目中村仲助は、二代目中村翫右衛門の子であり、前進座の創立メンバーの一人としても知られる三代目中村翫右衛門の実兄でした。本名は三井喜一郎、または三井康寿で、1889年から1941年まで生きていました。二代目中村梅之助、尾張屋梅之助を経て、初代中村歌門、そして三代目中村仲助を襲名しました。

四代目 中村仲助

1950年、十七代目中村勘三郎によって再興された中村勘三郎家（屋号：中村屋）の門弟である四代目中村仲助は、新たな時代の幕開けを告げました。本名は森長練磨で、1934年から2006年まで活躍しました。以降の中村仲助は、すべて中村勘三郎家の流れを汲むことになります。定紋も角切銀杏に統一されました。四代目中村仲助は、五代目中村山左衛門、四代目中村助五郎、二代目中村源左衞門へと名跡を繋いでいきました。

五代目 中村仲助

五代目中村仲助は、十七代目中村勘三郎の門弟、本名は向井史郎です。1950年から2023年まで、73年の生涯を送りました。屋号は中村屋で、三代目中村勘之丞へと名跡を継承しました。

六代目 中村仲助

六代目中村仲助は、当時五代目中村勘九郎（後の六代目中村勘次郎）の門弟でした。本名は荻野正人で、1965年生まれです。屋号は中村屋でしたが、2000年8月に日本俳優協会を退会し、廃業しました。

七代目 中村仲助

七代目中村仲助は、六代目中村勘九郎の門弟、本名は河上聡です。1991年生まれで、当代の中村仲助にあたります。屋号は中村屋です。

まとめ

このように、中村仲助の名跡は、それぞれの時代を彩る個性的な役者たちによって受け継がれてきました。初代から七代目まで、その系譜は歌舞伎の歴史そのものと言えるでしょう。特に、四代目以降は中村勘三郎家の流れをくむことで、名跡の重みと伝統がより一層強調されています。今後の七代目中村仲助の活躍にも期待がかかります。

参考文献

国立劇場調査養成部 調査記録課 編『歌舞伎俳優名跡便覧』（第三次・第四次・第五次修訂版）
浅原恒男・[金田栄一]・伝統歌舞伎保存会(編)『歌舞伎俳優名鑑：現在の俳優篇2021』
[野口達二]・秋山勝彦(編)『新版 歌舞伎俳優名鑑』
新村清美 編『最新歌舞伎俳優名鑑』

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