中村博保

中村 博保（なかむら ひろやす）

中村博保は、1932年に東京都墨田区で生まれた日本の文学研究者であり、特に日本近世文学、ならびに上田秋成の研究で広く知られています。彼は1997年11月5日に逝去しましたが、その業績は今なお多くの人々に影響を与えています。

学歴と初期のキャリア

1944年に麻布中学校・高等学校に入学した中村は、地方転出の影響で休学しましたが、その後1952年に新潟県立長岡高等学校を卒業しました。1956年に早稲田大学第二文学部を卒業し、さらに1961年に同大学大学院文学研究科の修士課程を修了しました。彼の学問に対する鋭い視点と情熱は、教育者としての活動にも引き継がれていきました。

1959年から1966年まで芝中学校・高等学校で教鞭を執り、このとき教え子に北方謙三がいました。北方は後に、中村の教育が自身の成長において重要であったと感謝の意を表しています。1966年には暁星高校の教諭として活動し、1972年までその役割を果たしました。

静岡大学での業績

1972年、中村は静岡大学教育学部に助教授として就任し、1976年には教授に昇進しました。彼は1995年に静岡大学を定年退職した後、名誉教授の称号を得ました。その後、富士フェニックス短期大学で教授職にあり、1997年には同大学の副学長に就任しましたが、残念ながら同年に急逝しました。中村の死後、彼の業績は高く評価され、正四位勲三等瑞宝章が追贈されました。

研究と著作

彼は鵜月洋に師事し、鵜月が急逝した後、その遺稿をもとに『雨月物語評釈』をまとめ、その業績の一部を引き継ぎました。この作品は、名義上は鵜月のものであるものの、中村の重要な代表作と見なされています。さらに、彼自身の著作には、『上田秋成の研究』（1999年）を始めとする多くの書籍があり、日本文学に関する深い考察が求められています。

彼の編著や校注の作品も含め、彼は日本文学の枠を超えてその影響力を持つ研究者となりました。代表的な著作には、以下のような作品があります。

• - 単著

『上田秋成の研究』ぺりかん社、1999年4月

• - 編著

『昭和文学60場面集 小説空間を読む ４ 情念篇』中教出版、1990年9月

• - 校注

『英草紙』（日本古典文学全集 48）小学館、1978年2月
『日本の古典 完訳 57 雨月物語 春雨物語』小学館、1983年9月
『英草紙』（新編日本古典文学全集 78）小学館、1995年10月
『近世歌文集 下』（新日本古典文学大系 68）岩波書店、1997年8月

このように、中村博保は日本近世文学の研究において重要な役割を果たした人物であり、その業績は後世に引き継がれています。

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