中村岳

中村岳

中村岳（なかむら たけし）は、北海道室蘭市出身、千葉県在住の現代美術家、画家です。多摩美術大学大学院美術研究科を修了。

作品の特徴

中村の作品は、日本建築をコンセプトとした絵画・立体作品が中心です。木目、漆、金属などの素材の質感を活かし、古風でありながらどこかエキゾチックで暖かみのある作風が特徴です。インスタレーションやミニマルアートの手法を取り入れ、現代美術と日本美術を融合させる試みも行っています。

北海道で育った原体験から、日本の伝統文化を異文化のように感じたという中村は、日本建築と絵画の関係を検証することで、自身の中に無かった日本の伝統に根ざした「文化の再構築」をテーマに作品を制作しています。その作品には、独自の日本文化に対する考察が込められています。

近年の現代美術業界における日本画ブームの中で、多くの美術家が目指す方向性とは異なり、中村の作風は特異な進化を遂げています。表現手段は絵画から脱却していますが、その作品は日本画の本質に迫るような深みを持っています。しかし、その知名度はまだ高くなく、一部の絵画関係者から注目されている段階です。

『吹抜屋台』をキーワードとした一連の作品は、現代美術のギャラリー、古民家、野外展など、様々な場所で展示されています。多様な表現方法のため一見理解しにくい面もありますが、緻密で工芸的な作風が誤解を招くこともあります。作品に対する意見は分かれるものの、そのコンセプトは一貫しており、特にインスタレーションとしての空間の扱いと、作品のマチエールに凝った手法が評価されています。まるで古びた寺院の木柱を思わせる漆表現や、現代美術のミニマルな要素と日本の伝統美術を理想的に融合させた作風は、見る者を魅了します。ギャラリー内に複雑に組み上げられた架構は、絵巻物に描かれている『吹抜屋台』の建築を具現化したものであり、中村のイマジネーションを通して生まれた架空の日本建築です。

野外での実験的な展示では、建築的要素を分析的に扱い、自身の表現の殻を破る試みも行っています。現在、「シャトル・ギャラリー」という自作の組立式ギャラリーによるユニークな展覧会を全国で展開しており、地域との交流や旧跡・寺院の訪問を通じて、自身のデータベースを構築しているようです。

2010年代に入ると、木材を使った構造物を実際に制作し、作品は大型化の一途を辿っています。特に野外作品は建築物のような規模になり、周囲の環境との関係性を再構築する試みも行われています。

作品の変遷

以前の大型平面作品から、近年は立体作品へと移行し、表現のフィールドを室内から野外へと拡張しています。作品は簡潔で記号性が強く、空間志向が顕著になっています。

吹抜屋台

絵巻物の大和絵に見られる表現技法で、斜め上から見下ろした視点で風景を俯瞰します。平行線を使った描法や、遠近法、斜投影法の一種であり、屋根や壁を取り払った建物を描くのが特徴です。

活動拠点

千葉県九十九里浜のアトリエを拠点に、国内外の画廊や美術展に参加しています。

外部リンク

ARTIST: 中村岳 (morueran)
中村岳 (中村岳-Takeshi-Nakamura-240005946490088) - Facebook
* 中村岳サイト

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