中村清吾

中村 清吾（なかむら せいご）は、1956年に東京都浅草で生まれ育った、日本の著名な医師です。特に乳腺外科を専門分野とし、乳がん治療における第一人者の一人として知られています。

千葉大学医学部を1982年に卒業後、同年から聖路加国際病院の外科にて研修医としてのキャリアをスタートさせました。聖路加国際病院では多岐にわたる経験を積み、1993年には情報システム室室長を兼任するなど、医療現場のIT化にも関わりました。その後、外科副医長、医長と昇進し、2005年には同病院に新設されたブレストセンターの初代センター長および乳腺外科部長に就任しました。この役職を通じて、乳がん診療体制の構築と発展に大きく貢献しました。

2010年からは、昭和大学医学部外科学講座乳腺外科部門の教授に就任し、同時に昭和大学病院ブレストセンター長も務めました。教育者としても多くの医師や学生を指導し、医学の発展に寄与しています。さらに、2022年4月からは昭和大学臨床ゲノム研究所の所長も兼務しており、ゲノム医療と乳がん治療の連携といった最先端の研究分野にも取り組んでいます。

臨床現場での活動に加え、医学教育にも熱心であり、聖路加看護大学の臨床教授や日本赤十字看護大学の非常勤講師、千葉大学医学部の臨床准教授なども務めてきました。また、専門医としての活動では、日本乳癌学会の乳腺専門医の資格を持ち、学会活動を通じて国内の乳腺医療の質の向上に貢献しています。

乳がん患者への情報提供と支援にも力を入れており、NPO法人日本乳がん情報ネットワークの代表理事を務めています。この活動を通じて、患者やその家族が必要とする正確な情報を届け、より良い治療選択をサポートしています。

その功績は広く認められており、2000年には第8回乳癌学会久野賞を受賞しています。また、メディアへの出演も多く、2003年にはテレビ番組『医者がすすめる専門医』で乳がんの専門医として紹介され、2009年にはNHKのドキュメンタリー番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』に出演し、「人生によりそい、がんと闘う」医師としての姿勢が描かれ、多くの人々に感銘を与えました。

著書も多数執筆しており、『乳がん : あなたにとって一番の治療を』（双葉社、2005年）や、『中村清吾の乳がんが見つかったときにまず読む本』（主婦の友社、2010年）など、一般向けの解説書から専門家向けの書籍まで幅広く手掛けています。さらに、『乳癌MRI診断アトラス』（医学書院、2004年）の編纂や、『消化器外科エキスパートナーシング』（南江堂、1995年）の共編、『「乳がん」といわれたら』（婦人生活社、2009年）の監修など、共著や共編、監修の形でも多くの書籍や論文に携わっています。また、医療映像教材であるDVD『ドクターズ・アイ 医者がすすめる専門医 VOL.15 - 乳がん』（医学映像教育センター、2005年）にも出演しており、多角的な方法で乳がんに関する知識の普及に努めています。

中村清吾氏は、臨床医として最前線で患者と向き合いながら、医学教育、研究、そして患者支援ネットワークの構築に至るまで、乳がん医療全般において多大な貢献をしている人物です。その活動は、多くの乳がん患者とその家族に希望と適切な情報をもたらしています。

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