中村琢二

中村琢二の生涯と業績

中村琢二（なかむら たくじ、1897年4月1日 - 1988年1月31日）は、日本を代表する洋画家の一人です。彼は日本芸術院の会員として、長い間多くの芸術ファンに親しまれてきました。

幼少期と教育

中村琢二は新潟県佐渡郡相川町（現在の佐渡市）で、鉱山技師を務めた中村啓二郎の二男として誕生しました。また、彼には洋画家として名を馳せた実兄、中村研一がいました。1899年に愛媛県新居浜へ移住し、その後福岡県の祖父母の元で育ちました。

彼は旧制東筑中学に進学し、その後福岡県立中学修猷館に転校しました。在学中、兄や児島善三郎らが設立した絵画同好会「パレット会」に参加し、西洋絵画の技法を学びました。

音楽と芸術の道

中村は当初、父の職業を継ぐべく第五高等学校理科に進学しましたが、健康上の問題で中退し、第六高等学校の英法科に入学しました。そして1924年、東京帝国大学の経済学部を卒業します。

1928年にフランスから帰国した兄の影響を受け、画家としての道を志すようになりました。1930年に『材木座風景』を出品し、第17回二科会展で初入選を果たします。同年、兄の紹介で安井曽太郎に師事し、彼の指導のもとでさらなる技術を磨いていきました。

大成と受賞歴

1937年、一水会が創立され、翌年には第2回一水会展に『母と子』を出品し、岩倉具方賞を受賞。更に1939年には『ボレロの女』で一水会賞を、1941年には新文展で『女集まる』が特選を受賞するなど、彼の名声は急速に高まっていきました。

1942年には一水会の会員となり、翌1946年からは委員の役職を担います。1953年には『扇を持つ女』で芸術選奨文部大臣賞、1962年に『画室の女』で文部大臣賞を受賞しました。1963年には日本芸術院賞も獲得し、その後もさまざまな名誉を受け続けました。

1965年には紺綬褒章が授与され、その後1973年から1982年まで日本美術界の重要な役職を歴任します。

作風と作品

中村琢二の絵画は、風景画や肖像画が中心であり、彼の独特の穏やかな作風が際立っています。中間色を活用し、明快な構図と軽やかな筆致によって、日常の美しさを表現しました。

晩年と死去

晩年には多くの後進に影響を与えつつ、自身の芸術活動を続ける中で、1988年1月31日に急性心筋梗塞により横浜市金沢区の病院でその生涯を閉じました。享年90歳でした。

画集

彼の作品は『中村琢二画集』（六芸書房、1984年）としてまとめられ、多くの人々が彼の芸術に触れる機会を得ています。中村琢二の名は、今も多くの人々に親しまれ、評価されています。

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