中村良二

中村良二

中村良二（なかむら りょうじ、1968年6月19日生まれ）は、福岡県三井郡北野町出身の元プロ野球選手であり、現在は野球指導者として活動している人物です。左投げ右打ちの内野手として知られていますが、彼のキャリアは選手としてだけでなく、指導者としても着実に成長を遂げています。

経歴

プロ入り前

中村は1980年、小学6年生の頃に奈良県代表として全国高等学校野球選手権大会に出場した天理高校の選手たちのプレーに感銘を受け、同校への進学を決意しました。1984年に天理高校へ入学し、硬式野球部に所属。2年生の春には選抜高等学校野球大会に出場し、本塁打を打ったことで存在感を示しました。3年生のときには主将を務め、春夏連続で阪神甲子園球場の全国大会に出場。夏の選手権では2本の本塁打を放ち、奈良県勢初の優勝を果たしました。

1986年のNPBドラフトでは近鉄バファローズから2位で指名され、入団することになりました。この時、進学の希望が家庭の事情で断念せざるをえなかったとのことです。背番号28でプロの道を歩み始めました。

プロ入り後

1987年、プロ入り1年目から70試合に出場。1994年と1995年には本塁打王と打点王のタイトルを手にしました。特に1996年にはリーグ2位の打率.298を記録しましたが、1989年には初めて一軍昇格を果たし、主に代打として起用されるも、強打者たちにはかなわず、出場機会は限られ続けました。

1996年には近鉄から戦力外通告を受けたものの、阪神タイガースに入団。背番号59をつけて再起を図りました。しかし1997年にはウエスタン・リーグ39試合出場にとどまり、一軍公式戦への出場機会はなく、11年間の現役生活を経て引退しました。通算753試合に出場しながら一軍公式戦では本塁打を放てないままとなりました。

現役引退後

引退後は職を見つけることが難しく、アルバイトを掛け持ちして生活していました。その後、少年野球チーム「藤井寺リトルシニア」の監督に就任し、9年間指導を続けました。2006年には社会人野球の大和高田クラブのコーチに就任。

2008年には天理大学硬式野球部の監督に就任し、チームを1部リーグに復帰させるなど指導者としても大きな成果を上げました。2013年には全日本大学野球選手権大会で14年ぶりの勝利を掴む成功を収めました。その後、高校野球界にも関わることになり、天理高等学校硬式野球部のコーチ、そして監督へと昇進。特に、監督時代には全国高等学校野球選手権奈良大会での優勝を果たし、準決勝進出を達成しました。2023年には天理高校の監督を退任し、2024年から大阪学院大学硬式野球部の監督に就任することが決まりました。

選手としての特徴

中村は天理高校在学中に41本の本塁打を放った実績からプロ入り後も長打力が期待されていたものの、守備位置の制約により一軍での出場機会は限られました。ウエスタン・リーグでは100本塁打を達成するも、一軍では一度もヒットを出せず終わりました。彼はその実績から「ミスター・ウエスタン」と呼ばれることもありました。

人物

中村は小学校1年生のときに父親を亡くし、厳しい環境で育った経験がありますが、その逆境を乗り越えてきました。野球推薦ではなく一般入試で天理高校に入学し、困難な状況からレギュラーの座を勝ち取りました。また、学生時代の指導方針は今も影響を与え続けています。指導者としては、「選手が自主的に判断し責任を持つチーム作り」を掲げ、選手とのコミュニケーションを大切にしています。自身の教え子に対しても、その才覚を引き出すために尽力しています。2022年には自著『選手と距離を置く理由』を発表し、指導理念を広めています。

もう一度検索