中村貞一

中村 貞一（なかむら さだいち、1909年9月24日生、没年不明）は、日本の林学および造園学の分野で顕著な業績を残した学者です。大学で教育と研究に長らく従事し、京都大学、島根県立島根農科大学（現在の島根大学生物資源科学部）、信州大学、そして名城大学で教えました。

専門分野は多岐にわたり、特に防火樹に関する実験的研究で知られています。加えて、観光レクリエーションや日本庭園史についても深く探求しました。

来歴

中村の学歴はやや複雑な経緯をたどります。

1929年：第八高等学校の文科乙類を卒業しました。
その後、東京帝国大学法学部法律学科に進学しましたが、病（結核）のため1935年に中途退学せざるを得ませんでした。
療養期間を経て、1942年9月に京都帝国大学に入学しました。
1945年には、京都帝国大学農学部林学科を卒業。同年から京都大学農学部で助手として勤務を開始し、演習林および造園学教室を担当しました。
1953年には京都大学の講師に昇任しました。

1957年には、島根県立島根農科大学に助教授として移籍します。ここでは造園学と森林保護を担当し、また視程の研究にも着手しました。この期間には、京都府にある萬福寺庭園の修理工事に携わった実績もあります。1962年には、京都大学から農学博士の学位を授与されました。

1967年からは、信州大学農学部森林工学科の教授を務めました。信州大学在職中には、長野県にある信濃国分寺跡の発掘調査に関わり、その史跡公園の基本設計を担当しました。

1973年に信州大学を退職し、名城大学農学部の教授となります。1982年3月に農学部教授の職を辞した後も、同学の理工学部建築工学科に移籍して引き続き教育・研究活動を行いました。

受賞

中村は、その研究業績に対して以下の賞を受けています。

1950年：日本造園学会賞
平成5年度（第12回）：日本造園学会上原敬二賞

主な著書

単著としては、

『緑地・造園の工法』（鹿島出版会、1977年）

があり、他にも

『造園技術』
『造園技術大成』
『造園辞典』
『造園の歴史と文化』

といった造園関連の専門書に分担執筆者として参加しています。

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