中村雅子 (アナウンサー)

中村雅子（なかむら まさこ）は、日本のフリーアナウンサーおよび朗読家として活動している人物です。1964年に生まれ、福島テレビアナウンサー時代の旧姓は辻雅子。将棋棋士で王将タイトルを通算二期獲得した中村修九段を夫に持ちます。

来歴

青森県青森市で生まれ育ち、青森県立青森高等学校を卒業後、中央大学法学部で学びました。大学を卒業した1987年、福島テレビに入社し、アナウンサーとしてのキャリアを開始します。在籍期間中には、FNSアナウンス大賞の新人賞とCM部門賞を受賞するなど、その才能は高く評価されました。当時の担当番組には『FTVテレポート』や『FTVスピーク』などがあります。

結婚、フリー転身、そして活動

1992年、将棋棋士の中村修九段と結婚したことを機に、福島テレビを退職しました。これを機に「辻雅子」から夫の姓である「中村雅子」となり、活動の拠点を東京へと移します。以降、フリーランスのアナウンサーとして、また朗読家として、多岐にわたる活動を展開しています。

フリーアナウンサーとしては、転身後の数年間、『タイム3』『タイムアングル』『TVクルーズ となりのパパイヤ』といった情報番組で、生コマーシャルを担当し、持ち前の明るさと表現力を活かしました。夫である修九段が将棋界における著名なタイトル経験者であるため、夫妻で将棋まつりなど様々な将棋関連イベントに招かれる機会も多く、雅子自身がイベントの司会を務めることも少なくありません。これは、将棋という伝統文化の普及活動にも貢献する形となっています。

また、朗読の世界においても精力的に活動しており、朗読家の幸田弘子氏に師事しました。幸田氏が主宰する朗読グループ「幸風」にも参加し、都内を中心に、時には自身の故郷である青森県でも朗読公演を行っています。言葉の響きや抑揚を大切にし、物語の世界観を聴衆に伝える朗読家としての側面も、中村雅子の活動の重要な柱の一つです。

プロ棋士の妻として

1992年に結婚した中村修九段との関係は、彼女の人生を語る上で欠かせない要素です。雅子自身は、プロ棋士の妻という立場を「マネージャー」「秘書」「洋服コーディネーター」という三つの役割に例えています。将棋の対局は長時間に及ぶことが多く、夫が帰宅するのは深夜になることも珍しくありません。そのような時は、寝たふりをして夫の帰りを待つのが常だといいます。夫の勝敗については、「気配と物音でわかる」と語っており、長年連れ添った夫婦ならではの深い理解と信頼関係がうかがえます。

二人の出会いは、雅子が福島テレビに入社したばかりの1987年春でした。当時将棋を愛好していた上司が企画した「若手棋士との食事会」に雅子を含む数名が参加したことがきっかけです。この食事会には、修九段とともに、後に「55年組」と呼ばれる同世代のトップ棋士である島朗九段や塚田泰明九段も同席していました。ちなみに、修九段はその年の3月にはすでに中原誠十六世名人相手に王将タイトルを防衛し、二期連続での獲得を果たしていました。

その後、二人は数年間、友人を含めたグループでの交流を続けますが、約三年が経過した頃から特別な関係へと発展していきます。修九段が東京駅の新幹線ホームから、福島に住む雅子に電話をかけて夕食に誘うといった、情熱的なエピソードも残されています。結婚を決断する際、雅子は前述の上司から修九段の収入状況や将棋界の実情について具体的な情報を得ており、この上司の助言が結婚への大きな後押しになったと感謝しています。しかし、結婚後に、プロ棋士の収入が対局の結果によって大きく変動する現実を知り、驚きを感じたとも明かしています。

なお、中村夫妻は揃って宝塚歌劇団の大ファンとしても知られています。最初は雅子から修九段を誘ったそうですが、次第に修九段も宝塚の世界に深く魅了されていったといいます。

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