中橋愛生

中橋 愛生

中橋 愛生（なかはし よしお）氏は、1978年6月19日に長崎県で生まれた、日本の作曲家、編曲家、そして教育者です。作曲を吉田峰明、西村朗、池辺晋一郎、湯浅譲二の各氏に、指揮を汐澤安彦氏に師事しました。主に吹奏楽や室内楽といった分野で精力的に作曲活動を行う傍ら、10年以上にわたりNHK-FMの番組「吹奏楽のひびき」のパーソナリティを務めるなど、幅広い活動で知られています。

人物・来歴

中橋氏は長崎県で生を受けた後、幼少期に佐賀県嬉野市へ移り住み、中学2年からは武雄市で青春時代を過ごしました。1997年に佐賀県立武雄高等学校を卒業後、東京音楽大学に進学。2001年に音楽学部音楽学科作曲指揮専攻（作曲 芸術音楽コース）を首席で卒業する優秀な成績を収めました。さらに研鑽を積み、2003年には東京音楽大学大学院（作曲研究領域）も首席で修了しています。学生時代の2002年には、第71回日本音楽コンクール作曲部門（管弦楽作品）で第3位に入賞するなど、早くからその才能を発揮しました。

2008年からは、NHK-FMの長寿番組「吹奏楽のひびき」でパーソナリティを担当。軽妙な語り口と深い知識で多くの吹奏楽ファンに親しまれています。同年5月には、日本管打・吹奏楽アカデミー賞（作・編曲部門）を受賞。作曲家としての実力を認められました。また、優れた吹奏楽作品に贈られる下谷奨励賞を、2009年と2010年に連続で受賞しています。特に、国内外の吹奏楽作品が紹介されるコンサート「響宴」では、自身の作品である「閾下の桜樹〜吹奏楽のための」（第12回、2008年）と「谺響する時の峡谷〜吹奏楽のための交唱的序曲」（第13回、2008年）が同賞を受賞しています。

教育者としては、2009年4月から2017年12月まで東京音楽大学非常勤講師を務めたほか、2013年4月からは国立音楽大学、2014年4月からは日本大学芸術学部で非常勤講師を務めています（いずれも現在まで）。2018年1月からは母校である東京音楽大学の准教授に就任し、後進の指導に力を注いでいます。また、2010年4月からは日本管打・吹奏楽学会理事、2015年からは日本バンドクリニック委員会委員も務めるなど、日本の吹奏楽界の振興にも積極的に関わっています。2010年から2013年12月にかけては、「レコード芸術」誌の吹奏楽・管楽器部門の新譜月評も担当していました。

主要作品

中橋氏の作品は多岐にわたりますが、特に吹奏楽曲が多く、国内外のプロ・アマチュア問わず様々な団体から委嘱を受けています。そのスタイルは多様で、祝典的な作品から内省的な作品まで幅広く手掛けています。

吹奏楽曲（抜粋）

「遮光の反映 吹奏楽のために」（2001年）
「科戸の鵲巣　吹奏楽のための祝典序曲」（2004年）
「玻璃ぷりずむ　吹奏楽のためのテクナル・ミニマリズム」（2004年）
「《La Decouverte du Feu》ユーフォニアムと吹奏楽のための」（2005年）
「オルテンシア　雨中に煌めく硝子の紫陽花」（2007年）
「閾下の桜樹〜吹奏楽のための」（2008年、下谷奨励賞受賞）
「谺響する時の峡谷〜吹奏楽のための交唱的序曲」（2008年、下谷奨励賞受賞）
「そして時は動き出す〜太鼓と吹奏楽のための祝典序曲」（2009年）
「氷結の花〜吹奏楽のための」（2011年）
「ラグランジュ・ポイント〜吹奏楽のための」（2011年）
「陽炎の樹〜吹奏楽のための」（2016年）
「じゆびれえしよん〜吹奏楽のための」（2019年）

その他の分野の作品（抜粋）

管弦楽曲：「交響残象」（2000年）、「滲む樹〜トロンボーンと管弦楽のための」（2003年）
合唱曲：「風に寄せて〜無伴奏男声合唱組曲」（2005年）
* 室内楽曲：「とっかあた〜ユーフォニアムとピアノのための」（2005年）、「静寂の森、饒舌な雨〜サクソフォーン・オーケストラのための」（2012年）、「れがしい〜ユーフォニアム、テューバ、ピアノのための」（2015年）

今後の展望

2024年4月からは、日本を代表するプロ吹奏楽団の一つである東京佼成ウインドオーケストラの楽芸員に就任する予定であり、作曲家、教育者、そして吹奏楽界の牽引者としてのさらなる活躍が期待されています。

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