中沢目貝塚

中沢目貝塚 (なかざわめかいづか)

宮城県大崎市田尻に位置する中沢目貝塚は、縄文時代後・晩期の内陸部に形成された淡水産貝塚として知られています。1988年（昭和63年）10月14日に国の史跡に指定され、その学術的な価値が認められています。

概要

1974年（昭和49年）以降、数回にわたる発掘調査が実施され、縄文時代の生活様式や文化に関する貴重な情報が得られました。貝塚は、蕪栗沼の南側に広がる大貫丘陵から北へ突き出した、標高29メートルの丘陵上に位置しています。周囲の水田地帯からは約26メートルの高さがあり、一帯を見渡せる場所にあります。同じく遊水地帯に臨む長根貝塚とも共通点が見られます。

貝塚の規模は、東西約270メートル、南北約220メートルです。貝層は比較的規模が小さく、オオタニシ、イシガイ、ヌマガイなどの淡水産の貝類が主な構成要素となっています。これらの貝類は、当時の人々にとって重要な食料資源であったと考えられます。

出土遺物

中沢目貝塚からは、多種多様な遺物が出土しています。土器や石器といった生活用具のほか、装身具、土面、土偶、耳飾りなどの祭祀・装飾品も発見されており、当時の精神文化をうかがい知ることができます。また、岩版や石棒などの石製品、簪、鏃、腕輪などの骨角貝製品も出土しており、当時の技術水準や美的感覚を知る上で重要な資料となっています。

特に注目されるのは、石鏃を固定したままの根挟みです。これは、狩猟の道具である石鏃を、柄に固定するための道具であり、当時の狩猟技術を知る上で貴重な資料となります。

検出遺構

発掘調査では、竪穴建物跡が3棟検出されています。これらの建物跡は、当時の住居の形態を知る上で重要な情報を提供してくれます。竪穴建物は、地面を掘りくぼめて作られた住居であり、寒さや風から身を守るための工夫が凝らされています。

所在地とアクセス

中沢目貝塚は、〒989-4301 宮城県大崎市田尻蕪栗字熊野堂に位置しています。アクセスは、東日本旅客鉄道（JR東日本）田尻駅から車で約20分です。

周辺情報

中沢目貝塚の周辺には、長根貝塚をはじめとする縄文時代の遺跡が点在しています。これらの遺跡を巡ることで、縄文時代の文化や人々の生活について、より深く理解することができます。また、大崎市内には、これらの遺跡から出土した遺物を展示する博物館や資料館などもあります。

まとめ

中沢目貝塚は、縄文時代の内陸部の人々の生活や文化を伝える貴重な遺跡です。出土した遺物や検出された遺構は、当時の技術水準や精神文化を知る上で重要な資料となります。大崎市を訪れる際には、ぜひ中沢目貝塚に足を運び、縄文時代の息吹を感じてみてください。

関連項目

長根貝塚
日本の貝塚一覧
縄文時代の遺跡一覧
北海道・東北地方の史跡一覧

外部リンク

指定文化財｜史跡｜中沢目貝塚 - 宮城県
大崎市の文化財 - 大崎市
中沢目貝塚 - 文化遺産オンライン（文化庁）
中沢目貝塚 - 国指定文化財等データベース（文化庁）

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