中津山藩

中津山藩の歴史と川崎伊達家

中津山藩（なかつやまはん）は、江戸時代に陸奥国、現在の宮城県に位置していた藩です。この藩は仙台藩の内分支藩として、伊達村和が一代の藩主として知られています。藩庁は桃生郡中津山所、現在の石巻市に設けられました。

設立の経緯

元禄8年（1695年）6月、仙台藩第4代藩主である伊達綱村は、弟である水沢伊達家第5代当主、伊達村任に対し、桃生郡中津山及び他の地域を合わせて3万石を分知することを幕府に申し請けました。これにより、内分分家として中津山藩が誕生したのです。

村任はこの分知を受けて、養子の吉之助に家督を譲り、自らは新たに諱（いみな）を村和と改めて藩主として江戸に移りました。藩の設立時には、実質的な男子が存在しなかったため、養子を迎える必要がありました。

中津山藩の領地と発展

藩が持つ領土は、主に桃生郡の7つの村（中津山、寺崎、牛田、倉埣、脇谷、永井、太田）および栗原郡の4つの村（猿飛来、平形、岩崎、大原木）から成り立っており、知行地の内容は1万5千石にのぼりました。藩設立後、元禄12年（1699年）には藩邸が落成され、外交や政治の活動が本格化しました。

ところが、同年9月、村和は江戸城への登城中に起きた事件により謹慎を命じられ、ついには藩が改易されてしまいます。これにより、村和は宮城郡野村に逼塞し、藩の土地は仙台藩の支配に戻ったのです。

川崎伊達家の成立

中津山藩の改易後、村和はおよそ20年間の隠遁生活を送りましたが、享保7年（1722年）に彼が亡くなると、長男の村詮が一門第九席として柴田郡川崎に知行地を与えられ、川崎伊達家が成立しました。以後、川崎伊達家は幕末まで同地を所領として存続しました。

川崎伊達家の最後の当主である第7代・邦賢は、戊辰戦争では浜通りおよび笹谷口への派兵を行いましたが、敗北により所領を失うことになりました。その後は小学校の教員として生活を始めましたが、明治10年に西南戦争が勃発すると、家族と共に旧家臣団を率いて戦に加わり、凱旋後は東京に居住し、伊達伯爵家の剣術師範として新たな生活を築きました。

歴代藩主と系譜

中津山藩の藩主は伊達村和一人で、彼の後は川崎伊達家が続きました。川崎伊達家の歴代当主は次のようになります：

• - 伊達村詮（村和の長男）
• - 伊達村敏（岩出山伊達村泰の子で、村和の婿）
• - 伊達村煕
• - 伊達村賢（水沢伊達村儀の子で、村煕の婿）
• - 伊達宗和（岩出山伊達村則の子で、村賢の婿）
• - 伊達邦和（岩出山伊達宗秩の子で、宗和の婿）
• - 伊達邦賢（最後の当主）

参考文献

1. 『水沢市史』3上 近世上（岩手県水沢市、1981年）
2. 『桃生町史』第1巻（宮城県桃生郡桃生町、1985年）
3. 『川崎町史』（宮城県柴田郡川崎町）
史料編（1972年）
通史編（1975年）

もう一度検索