伊達村和

伊達村和（だて むらより）

伊達村和は江戸時代前期の大名で、始めは陸奥国仙台藩水沢伊達家の5代当主として名を知られました。彼はその後、中津山藩の初代藩主となりましたが、短い藩主生活の後、わずか4年で改易される運命を辿ります。

生涯

誕生から水沢伊達家時代

寛文元年（1661年）8月25日、仙台藩3代藩主・伊達綱宗の二男として江戸の品川屋敷で誕生。彼の幼名は鶴千代であり、早くから将来を期待されていました。寛文11年12月19日、伯父で岩沼藩初代藩主の田村宗良を烏帽子親として元服し、田村顕孝と名乗ることになります。

延宝3年（1675年）3月、兄・綱村の後押しで水沢伊達家4代当主・伊達宗景の養子となり、4月15日に家督を相続し5代当主となりました。この際、名を伊達顕孝と改め、延宝5年9月には水沢要害への入部を機に村任（むらとう）に改名します。村任は、正室として伯父の娘である於常を迎えるなど、家族関係を強化します。

彼の家督相続後、知行高は21635石に達し、これは水沢伊達家の歴代当主において最大の石高であり、所領の整備にも尽力しました。特に治水政策に注力し、千田堤や寿安堰の改修を行い、地域の発展に貢献しました。また、家臣団の派閥間抗争を鎮めるため、『留守家条々』を制定し、家の運営に関して規則を設けました。

中津山藩主時代から死去まで

元禄8年（1695年）、兄の綱村から3万石を譲られて中津山藩の初代藩主となり、名を村和に改めます。この時、水沢伊達家の家督は甥の吉之助に譲られました。同年12月18日には従五位下・美作守に叙任されます。

村和は、元禄9年には徳川家綱の17回忌の公家接待役を務めるなど、藩政に影響力を持つ人物となっていました。しかし、元禄12年に江戸で起こった土器町事件によって、江戸城への登城行列が問題視され、9月26日には謹慎を命じられ、10月28日には改易に至りました。この結果、彼は一度も藩庁に入ることなく、兄・綱村に預けられた後は宮城郡野村に逼塞されることとなりました。

逼塞期間中、彼は毎年金200両と米2000石を支給されました。この処分は20年にわたり続き、享保4年（1719年）にようやく罪が許されます。翌年には出家して定岳と名乗るに至ります。

享保7年（1722年）6月29日、62歳で死去し、その後、長男の村詮が一門の家格に加わり、川崎要害を拝領して2000石を知行します。村和の子孫は幕末までこの地を治めることとなります。

系譜

村和の父は伊達綱宗、母は三沢初子で、兄弟には長男の伊達綱村、次男の伊達村和、三男の伊達宗贇がいました。正室は於常で、他に数人の側室を持ち、計多くの子を残しました。これらの家族・親族関係は、後に彼の子孫が関わる歴史の中で重要な要素となります。

脚注

伊達村和に関する史料は多く残されており、彼の治水政策や藩の運営に関する資料は、特に『水沢市史』や『桃生町史』などに掲載されています。

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