中津駅 (大分県)

中津駅：北九州都市圏の玄関口、歴史と現代が交差する鉄道の要衝

大分県中津市に位置するJR九州日豊本線の中津駅は、同県最北端の駅として、北九州都市圏における重要な交通拠点となっています。明治30年(1897年)9月25日、豊州鉄道の行橋駅～柳ヶ浦駅間の開通に伴い開業して以来、長きにわたり地域住民の生活を支え、発展を促してきた歴史ある駅です。

駅舎は高架構造となっており、島式ホーム2面4線を有する規模を誇ります。バリアフリーにも配慮され、各ホームには小倉方面への斜行エレベーター、大分方面へのエスカレーター（上り線のみ）が設置されています。改札階へは踊り場を経由する設計です。駅長配置の直営駅であり、みどりの窓口も設置されているなど、利用者の利便性を高めるための設備が整っています。

駅構内には、かつてキヨスクが存在していましたが、現在は閉鎖され、跡地にはグランドピアノが置かれています。また、JR九州直営のコンビニエンスストア「生活列車」も営業しており、旅の途中で必要な物資の調達も容易です。中津駅名店街も駅舎内にあり、地元の特産品などを購入できるショッピングスポットとして賑わっています。

中津駅は、歴史的にも重要な役割を果たしてきました。昭和24年(1949年)6月9日には、昭和天皇の戦後巡幸におけるお召し列車が停車した記録も残されています。さらに、平成6年(1994年)には、ホームに「日本一長いハモの椅子」と呼ばれる長さ10mのユニークなベンチが設置され、地域を代表する名物料理であるハモをPRしています。このベンチは、台風の倒木を再利用したもので、環境問題への意識の高さがうかがえます。

交通アクセス面でも、中津駅は優れています。日豊本線を利用し、特急「ソニック」「にちりん」「にちりんシーガイア」など、多くの列車が停車します。また、ICカードSUGOCAも利用可能で、スムーズな乗車が可能です。大分県内における自動改札機の設置は、大分駅に次いで2番目に早く導入されました。

駅周辺は、商業施設や公共施設が充実しています。中津市役所、中津文化会館、サンリブ中津店、中津郵便局、ゆめタウン中津などの商業施設に加え、複数のホテルも立地しています。金融機関も複数進出しており、地域経済の中心として重要な役割を担っています。

バス路線も充実しており、中津駅前バス停留所からは、大分交通北部バスなど多くの路線バスが発着し、市内各地や近隣都市へのアクセスが容易です。また、中津市コミュニティバスも運行されており、地域住民の足として活躍しています。

観光面でも、中津駅は魅力的な立地にあります。駅周辺には、福澤諭吉旧居、中津城、薦神社、中津市歴史民俗資料館などの歴史的建造物や観光スポットが点在しており、観光客にとっても便利な拠点となっています。中津市はハモ料理で有名であり、駅周辺の飲食店では、新鮮なハモを使った料理を味わうことができます。

近年では、駅北口の壁面に一万円紙幣を模したモザイクタイルアートが設置されるなど、地域活性化に向けた取り組みも積極的に進められています。

このように、中津駅は歴史と現代が融合した、地域社会の中心的な役割を担う駅であり、これからも地域の繁栄に貢献していくことが期待されます。

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