中澤利彦

中澤利彦（Toshihiko "TOSHI" Nakazawa）

新潟県新潟市出身の中澤利彦は、ニューヨークを拠点に国際的に活動するダンサー、アーティスト、講演家、振付師、そして演出家です。英語での通称は「TOSHI」。

18歳で大東文化大学モダンダンス部に入部しダンスの道を歩み始めた後、卒業後は一般企業に3年間勤務しました。しかし、ダンスへの情熱を断ち切ることができず会社を退職。25歳を迎えた2010年、ダンスの本場ニューヨークへ単身渡航することを決意します。現地でダンスの専門学校に通いながら技術を磨き、2013年にアーティストビザを取得、2016年にはこれを更新しました。さらに、2020年にはアーティストとしての永住権（グリーンカード）も承認されています。

ニューヨークでの挑戦において、特に注目されるのが伝説的な劇場、アポロシアターで開催されるアマチュアナイトへの参加です。ソロダンサーとして初めてこの舞台に立った際、厳しい観客からブーイングを受け、舞台を後にするという屈辱的な経験を味わいました。しかし、彼はこの挫折を乗り越え、懸命な努力と研鑽を重ねて再びアポロシアターの舞台に挑みます。その結果、2013年5月と2014年4月の二度にわたり、見事に優勝を飾る快挙を成し遂げました。この活躍は、アメリカの人気テレビ番組「アメリカン・ダンスアイドル（So You Think You Can Dance）」でも取り上げられ、1万5000人もの参加者の中からTOP100に選出され、2013年と2014年ともに最終オーディションまで進んでいます。

パフォーマーとしての活動はニューヨークに留まらず、ロサンゼルス、ラスベガス、ボストン、シカゴといったアメリカ国内主要都市はもちろん、カナダやタイなど海外各地でも精力的に公演を行っています。ニューヨークの街を巡るユニークな観光バス「THE RIDE」では、日本人として唯一のストリートパフォーマーとして活躍。また、自身が所属するダンスカンパニーでのパフォーマンスや、アメリカ現地の学校でのダンス講師、VIPパーティーでのソロパフォーマンスなど、その活動分野は多岐にわたります。

日本に一時帰国した際には、主に学校関係を中心に、後進の育成や啓発を目的とした講演活動やダンスワークショップを全国各地で実施しています。文化庁の登録芸術家でもあり、これまでに100箇所以上の学校で講演を行った実績を持ちます。また、高校英語の教員免許も所持しており、教育に対する強い関心と貢献意欲が見られます。

ニューヨークでは、現地在住の日系人を主な対象とした「NYエンタメ・スポーツの会」を主催。これは、現地のアーティストやスポーツ関係者が互いに意見交換し、交流を深めるためのプラットフォームを提供することを目的としています。コロナ禍においては、オンラインでのダンスクラスやセミナーなども積極的に展開し、場所を選ばない情報発信や指導にも力を入れています。

アポロシアターでの成功を皮切りに、世界を舞台に活動の幅を広げ続ける中澤利彦氏は、その経験と情熱を教育やコミュニティ活動にも還元し、多方面で影響を与えています。

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