中立地帯 (サウジアラビアとクウェート)

中立地帯：サウジアラビアとクウェートの国境を巡る歴史的領域

中立地帯は、かつてサウジアラビアとクウェートの国境に位置していた、約5,770平方キロメートルの領域です。1922年のオカイル議定書によって両国の国境線が定められた際、この地域はどちらの国に帰属するかが決定されないまま残されました。

中立地帯成立の背景

元々、サウジアラビアとクウェートの間の砂漠地帯は、遊牧民が自由に往来する地域であり、定住者はほとんどいませんでした。そのため、国境線を引いてしまうと、家畜を放牧する遊牧民の移動が妨げられるという問題がありました。

そこで、オカイル協定（ウカイル協定）では、この地域を「中立地帯」または「分割地帯」と呼び、「ナジュド王国政府とクウェートは、イギリス政府を介して本件に関する両国間の新たな協定が締結されるまで、等しい権利を有する」と定めました。

石油発見と共同管理

当初、この中立地帯に対する関心は高くありませんでした。しかし、1938年にクウェートのブルガン油田で石油が発見されたことで、中立地帯にも石油資源が埋蔵されている可能性が浮上しました。1948年から1949年にかけて、両国政府は相次いで民間企業に石油採掘権を与え、その後、共同管理協定を結び、石油開発を進めることになりました。

石油基地の建設によって人口が増加すると、国境が未画定であることの不都合が生じるようになりました。例えば、交通事故が発生した場合に、両国から罰金を科せられるといった事例も発生しました。

中立地帯の分割

1960年10月、クウェートとサウジアラビアの首脳会談が行われ、中立地帯の分割に向けた交渉が開始されました。1965年7月7日、両国政府は中立地帯を分割する協定を締結し、1966年7月25日に発効しました。具体的な国境線の画定に関する協定は、1967年12月7日に締結され、1969年12月18日にクウェートで文書の交換と署名が行われた後、正式に発効しました。この協定は1970年1月18日に批准され、同月25日に『Kuwaiti Official Gazette』紙上で公表されました。

中立地帯は、1974年にISO 3166が採用される前に分割されたため、ISO 3166コードは割り当てられていません。

カフジ油田

中立地帯の沖合には、日本のアラビア石油が自主開発したカフジ油田が存在します。アラビア石油は、1957年にサウジアラビア、1958年にクウェートと利権協定を締結し、1960年にカフジ油田を発見、翌1961年から生産を開始し、主に日本向けに石油を輸出しました。2000年にサウジアラビア、2003年にクウェートとの利権協定が終了しましたが、その後も原油の販売を継続しています。

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