中舞鶴駅

中舞鶴駅：海軍工廠を支えた歴史と、静寂に包まれた現在

中舞鶴駅は、京都府舞鶴市余部下に存在した日本国有鉄道（国鉄）舞鶴線支線（通称中舞鶴線）の駅です。現在は廃駅となっており、その歴史は太平洋戦争末期の賑わいから、戦後の衰退、そして静寂へと移り変わってきました。本稿では、中舞鶴駅の興亡と、現在の様子について詳しく解説します。

開業から廃駅まで：変遷の歴史

1919年（大正8年）、鉄道院舞鶴線の駅として開業した中舞鶴駅は、当初は一般駅として多くの旅客と貨物を扱い、地域の重要な交通拠点として機能していました。しかし、1963年（昭和38年）には荷物の取扱いが廃止され、駅も無人化。そして、1972年（昭和47年）11月1日、ついに廃止の運命を辿ることとなります。

特に太平洋戦争末期には、舞鶴海軍工廠への物資輸送を担う重要な役割を担っていました。1日5,000人以上の乗客が利用し、舞鶴・小浜両線から海軍工廠への直通貨物列車も多数運行されていました。戦況の激しさを感じさせる、活気ある時代だったと言えるでしょう。

しかし、戦後の経済状況の変化や交通手段の多様化により、旅客需要は徐々に減少。1967年（昭和42年）には、朝夕の6往復まで運転本数が削減されるなど、衰退の兆候が顕著になりました。それでも、山陰本線からの直通運転は廃止直前まで維持されていました。

駅の構造と周辺環境

中舞鶴駅は、1面1線のホームと数本の側線を備えた地上駅でした。有人駅時代には、丹後街道沿いに駅舎がありましたが、無人化後に取り壊され、廃止時にはホームと待合室のみが残る状態でした。

駅の北側には、舞鶴重工業（後の日立造船、現在のジャパン マリンユナイテッド）舞鶴事業所へ続く専用線が敷設されており、軍需産業との繋がりを示す重要な要素でした。現在、駅跡地は公園として整備され、C58 113号機が保存されています。

駅周辺には、海上自衛隊舞鶴地方総監部、ジャパン マリンユナイテッド舞鶴事業所、中舞鶴公園、読売新聞舞鶴支局、京都北都信用金庫中舞鶴支店などがあり、現在も重要な施設が集中する地域となっています。京都交通の「造船所前」バス停も近くにあります。

隣の駅

中舞鶴駅の隣駅は、北吸駅でした。

まとめ：歴史の痕跡を伝える静かな公園

中舞鶴駅は、その歴史の中で、地域の繁栄と衰退を肌で感じてきたと言えるでしょう。戦時中の賑わいから廃駅に至るまでの変遷は、日本の近代史の一断面を物語っています。現在は静かな公園として整備され、C58 113号機の保存車両が、かつての活気を偲ばせる存在となっています。訪れる者は、そこに刻まれた歴史の重みを感じることができるでしょう。

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