中華人民共和国政府

中華人民共和国政府

中華人民共和国政府とは、中華人民共和国国務院が対外的に使用する名称です。これは、国務院が締結する条約が「中華人民共和国政府」の名義で行われるという形で具体的に示されています。この規定は、国務院令第756号《締結条約管理弁法》によって定められています。

歴史

1949年10月1日、中華人民共和国が成立し、その国家の最高機関として、中華人民共和国中央人民政府が組織されました。この中央人民政府は、中央人民政府委員会とその指導下にある政務院、人民革命軍事委員会、最高人民法院、最高人民検察署で構成されていました。さらに1952年には、国家計画委員会が設けられました。

この時期の政治体制は、共産党が政府を指導するという「以党領政」の体制でした。中国人民政治協商会議（政協）が、中国共産党の指導下にある人民統一戦線組織として最高位に位置し、国家のすべての権力を掌握していました。中央人民政府は、党によって指導される「国家政権機関」として、立法、司法、行政、軍事のすべての権限を持ち、集権的な制度となっていました。

1954年の憲法起草委員会第三回全体会議において、董必武は「アメリカの『政府』は立法、行政、司法を包括するが、ソ連や人民民主主義国では『政府』は立法機関によって定められた法律の執行機関である。ソ連政府、すなわちソビエト連邦閣僚会議は最高会議を含まない。我々は『中央人民政府』を国務院と改称した方がよい」と述べました。また、劉少奇も「中国の習慣では行政機関こそが政府機関のことだ」と述べました。

これらの意見を受けて、中華人民共和国では、狭義の政府は国務院を指すこととなりました。広義の政府としては、政府の具体的な機能を構成する「職能部門」も含まれますが、国務院の下に属する各部や委員会はあくまで政府の職能部門と位置づけられています。

1954年公布の《中華人民共和国憲法》では、「中華人民共和国国務院、すなわち中央人民政府は、最高国家権力機関の執行機関であり、最高の国家行政機関である」と規定されています。地方の各級の人民政府は、それぞれの地方において、国家権力機関の執行機関であり、国家行政機関であり、国務院の統一指導の下にあります。これにより、憲法上、国務院は中央人民政府として、国の内外に対して国家を代表します。具体的には、最高国家機関の執行機関であり、全国人民代表大会およびその常務委員会が定める法律や決議を執行する責任を負うとともに、これらの機関からの監督を受けます。

行政の枠組みにおいては、国務院が最高国家行政機関として行政権を行使し、全国の行政機関を指導します。国務院は「総理責任制」を施行しており、国務院総理は政府首脳として国務院の職務を総覧し、全国人民代表大会と全国人民代表大会常務委員会に対して責任を負います。

関連項目

党と国家機構 - 中国における政治用語。「四套班子」「四大班子」とも。

参考文献

座間紘一「市場経済移行過程における中国 地方行財政の変化」

外部リンク

* 座間紘一「市場経済移行過程における中国 地方行財政の変化」

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