中華人民共和国鉄道部

中華人民共和国鉄道部とは

中華人民共和国鉄道部は、かつて国務院に属していた行政部門であり、鉄道行政を管轄していました。日本の旧運輸省（現国土交通省の一部）に相当する役割を担い、報道では「中国鉄道省」とも呼ばれていました。しかし、2013年の全国人民代表大会で解体が決定し、中国鉄路総公司として再編されました。

組織運営については、ここでは全体像を把握することを目的とし、具体的な路線などについては「中華人民共和国の鉄道#国鉄」を参照してください。

歴史

中華人民共和国建国後、鉄道部は軍隊や武器輸送を担う「準軍事部門」として扱われていました。鉄道兵部隊を保有していたことも特徴です。近年、高速鉄道建設ラッシュに伴い、莫大な財政支出が発生し、巨大な利権ネットワークが形成されました。江沢民前共産党総書記に近い官僚たちが、この部門を牛耳るようになり、腐敗が深刻化しました。

2011年2月には、劉志軍前鉄道部長が職権濫用を理由に解任され、後に党籍を剥奪されました。さらに同年7月には、浙江省温州市で列車脱線事故が発生するなど、不祥事が相次ぎました（2011年温州市鉄道衝突脱線事故）。

これらの問題を受け、2013年3月5日からの全国人民代表大会で鉄道部の解体が決定されました。行政部門は交通運輸部に吸収され「国家鉄路局」となり、実際の鉄道運行を担う営利部門は国有資産監督管理委員会の管理下に入り、国有企業「中国鉄路総公司」として再出発しました。

2019年6月18日には、中国鉄路総公司が中国国家鉄路集団有限公司に移行しています。

歴代部長

鉄道部の歴代部長は以下の通りです。

滕代遠
呂正操
万里
段君毅
郭維城
劉建章（代部長）
劉建章
陳璞如
丁関根
李森茂
韓杼浜
傅志寰
劉志軍（2003年 - 2011年）
盛光祖（2011年 - 2013年）

下位機構

鉄道部には、日本の庁にあたる12の職能司が置かれていました。

弁公庁
政策法規司
発展計画司
財務司
科学技術教育司
人事司
労働・医療・衛生司
建設管理司
国際合作司
安全監察司
運輸局
公安局

また、鉄道局（鉄路局）／集団公司として以下の組織がありました。

京局 - 北京鉄路局
成局 - 成都鉄路局
広鉄 - 広州鉄路集団
哈局 - ハルビン鉄路局
呼局 - フフホト鉄路局
済局 - 済南鉄路局
昆局 - 昆明鉄路局
蘭局 - 蘭州鉄路局
南局 - 南昌鉄路局
寧局 - 南寧鉄路局
青鉄 - 青蔵鉄路公司
上局 - 上海鉄路局
瀋局 - 瀋陽鉄路局
太局 - 太原鉄路局
烏局 - ウルムチ鉄路局
武局 - 武漢鉄路局
西局 - 西安鉄路局
鄭局 - 鄭州鉄路局

まとめ

中華人民共和国鉄道部は、その長い歴史の中で、準軍事部門としての役割や、高速鉄道建設に伴う利権構造など、様々な側面を持っていました。不祥事が相次ぎ解体されましたが、その機能は国家鉄路局と中国国家鉄路集団有限公司に引き継がれ、中国の鉄道輸送を支えています。

もう一度検索