中華民国の首相

中華民国の首相

中華民国における行政の長、すなわち首相に相当する職位について解説します。1912年の独立宣言以降、その職位の名称は変遷を遂げてきましたが、1928年以降は行政院長がその役割を担っています。

歴代中華民国首相の変遷

国務総理

1912年、「中華民国臨時約法」の制定に伴い、臨時大総統によって内閣の長として「総理」が任命されるようになりました。この「総理」が、現在で言うところの首相に相当する役職でした。

政事堂国務卿

1914年5月1日、内閣は「政事堂」と改称され、それに伴い「総理」も「国務卿」と名称が変更されました。これは、袁世凱による権力集中の一環として行われたものでした。

国務総理（再任）

1916年6月29日、「政事堂」は再び「内閣」へと改称され、「国務卿」も「国務総理」と元の名称に戻されました。これは、袁世凱の死後、政治体制が一時的に復古したことによるものです。

行政院長

行政院長（繁: 中華民國行政院院長、閣揆、英: President of the Executive Yuan、Premier of the Republic of China）は、中華民国の行政院の長であり、現代における首相に相当する役職です。

概要

行政院長は、総統や副総統が不在の場合、最長3ヶ月間、臨時総統の職務を代行する権限を持ちます。

権限

行政院長は、以下の様な重要な権限を有しています。

行政院会議（閣議）の主宰。
閣僚の推薦権（総統が任命）。
立法院への施政方針と報告書の提出。
立法院への出席と答弁。
総統が署名する法令への副署。
立法院への行政命令提案権 - 法律、予算、戒厳令、大赦、宣戦・講和、条約の締結など。
緊急事務処理権 - 総統が緊急事務の処理を求める場合、行政院会議の決議を経る。
国会解散権 - 総統の同意が必要。
再議権力 - 立法院の採決した法律案、予算案、および行政院の重要政策決定について、総統の認可を得て再議を求めることができる。

選出方法

行政院長は、総統によって直接任命されます（憲法増修条文3条1項により、立法院の同意は不要）。ただし、立法院において行政院長不信任決議案が可決された場合、その職を失うことになります（憲法増修条文3条2項3号）。

歴代行政院長

1928年に国務総理から行政院長へと名称が変更されました。これは、中華民国の政治体制が大きく変化した時期と重なります。

憲法施行前

憲法施行前の行政院長については、詳細は省略します。この時期は、政治的な混乱が大きく、行政院長の地位も不安定でした。

憲法施行後

憲法施行後の行政院長についても、詳細は別の機会に解説します。

まとめ

中華民国の首相に相当する職位は、時代とともに変遷を遂げてきました。初期の「国務総理」から「政事堂国務卿」への移行、そして再び「国務総理」を経て、現在の「行政院長」に至るまで、その名称と役割は変化してきました。現在では、行政院長が行政の長としての役割を担い、様々な権限を行使しています。その選出方法や責任の所在も明確に定められています。

脚注

関連する情報については、以下の項目も参照してください。

関連項目

中華民国の政治
中華民国大総統
中華民国総統
北京政府
行政院
* 行政院副院長

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