中華民国徴兵規則

中華民国徴兵規則は、中華民国（台湾）における兵役法に基づき、徴兵制度を運用するための施行規則です。1956年に施行され、台湾、澎湖、金門、馬祖などの地域で適用されています。この規則は、徴兵対象者の認定、関連行政文書の作成、徴兵検査、抽選、入営輸送など、徴兵に関わる一連の手続きを定めています。

徴兵制度の沿革

1945年、台湾の統治権が台湾総督府から中華民国に移譲されました。当初、中華民国政府は台湾での大規模な軍隊動員を行わず、警備を主体としていましたが、国共内戦の結果、1949年に中央政府が台湾に移ると、中国共産党の軍事力に対抗するため、同年12月28日に台湾全域で徴兵制が開始されました。

年次と徴兵対象者

台湾の徴兵制度では、毎年1月1日から12月31日までを一つの年次として計算し、この期間内に18歳に達した男子が兵役適齢者（役男）とされます。兵役は法律で義務付けられており、正当な理由がない限り、兵役適齢の男子は兵籍調査と徴兵検査を受ける必要があります。兵籍調査は、戸籍地の政府が兵役適齢者の情報を管理するためのもので、公文書として扱われます。徴兵順位は年次によって決定されますが、誕生日による優先順位はありません。国防予算と抽選によって徴兵順位が決定されます。

2018年には、徴兵制は段階的に縮小され、志願制へと移行しました。この移行は、軍のスリム化と兵士への給与を削減することによる予算削減が目的です。削減された予算の一部は兵器の充実に当てられる予定ですが、野党などからは、国防費を急増させている中国との軍事格差がますます広がるとの懸念も出ています。ただし、4ヶ月間の軍事訓練義務は残されています。

兵籍調査

兵籍調査は、兵役登録日の兵役適齢者の戸籍地の資料に基づいて、地方自治体の兵役事務部門が実施します。戸籍を移動した場合は、転出元と転入先の自治体が連携して資料を移管します。徴兵免除、徴兵禁止、国籍喪失、死亡などの場合は、地方自治体が資料を作成し、中央政府に通知します。

徴兵検査

徴兵検査は、直轄市または県市政府の徴兵検査委員会によって行われます。委員会は、検査日の10日前までに、検査日時、場所、注意事項を対象者に通知します。学業などの理由で徴兵猶予が必要な場合は、猶予申請を行う必要があります。猶予理由が解消された場合は、再度検査通知が行われます。徴兵検査は、兵役対象者が軍務に耐えられるかを判断するとともに、配属される軍種を選ぶための参考にもされます。検査は、徴兵検査委員会が委託した医師によって行われ、結果は検査終了後に通知されます。検査結果に異議がある場合は、医療機関の診断書を提出し、徴兵委員会の承認を得る必要があります。

抽選と同梯

徴兵規則では、軍種、兵科、および年次徴兵順序は抽選によって決定されると規定されています。抽選は地方自治体で行われます。台湾全体の徴兵人数は国防部によって決定され、内政部が地方別の人数を決定します。地方自治体は、内政部の資料に基づき徴兵計画を進め、同時期に徴兵対象と決定された者に対して徴兵検査を実施します。これにより、徴兵実施を秘匿する目的があります。この同時期に徴兵されるグループは、台湾では「同梯」（同期徴兵群）と呼ばれます。陸軍を例にとると、現在までに2000を超える「梯」が編成されています。「梯」は、徴兵順序を表すだけでなく、退役後には同期兵を表す概念としても用いられています。

徴兵検査に合格した者には、入営日の10日前までに入営通知が送付されます。徴兵期間は1年で、入営日から起算されます。

入営

入営は地方自治体によって実施されます。各地方自治体の兵役科が入営業務を担当し、対象者の分布状況、居住地、交通機関などを総合的に判断し、入営期日と場所が決定されます。

徴兵忌避

徴兵忌避は、台湾社会において深刻な問題となっています。医学部学生の中には、専門知識を悪用し、薬物などを用いて意図的に身体異常を発生させ、徴兵を逃れようとする者がいます。医学部学生の徴兵検査不合格率は、他の学科の学生に比べて12倍高いというデータがあります。また、医師と共謀して診断書を偽造し、精神疾患などを理由に兵役を免除されるケースや、ブローカーが徴兵忌避を斡旋する事例も確認されています。近年では、うつ病やてんかんを理由に徴兵を逃れようとするケースも増えています。

さらに、徴兵検査では、身長196cm以上または157cm以下、体重110kg以上または45kg以下は不合格となるため、故意に肥満になったり、過度のダイエットを行うことで徴兵を逃れようとするケースもあります。

中華民国徴兵規則