中華民国立法委員選挙

中華民国立法委員選挙

中華民国立法委員選挙は、中華民国（台湾）の立法機関である立法院の立法委員を選出する選挙です。台湾の民主主義における重要な選挙の一つであり、その制度や歴史的背景、選挙結果が台湾の政治情勢に大きな影響を与えています。本稿では、選挙制度、歴史、選挙における地域性、そして選挙制度をめぐる議論について解説します。

選挙制度

現在、立法委員の定数は113議席で、任期は4年です。選挙制度は、小選挙区比例代表並立制を採用しており、73議席が小選挙区制、34議席が比例代表制（海外華僑枠を含む）、そして6議席が原住民枠として割り当てられています。

小選挙区制では、人口分布を考慮して選挙区が分けられますが、人口の少ない離島部では、憲法の規定により、人口に関係なく1議席が割り当てられるため、一票の格差が生じています。比例代表制では、有効投票数の5%以上の得票を得た政党にのみ議席が配分されます（阻止条項）。また、各政党の比例代表名簿には、女性候補が50%以上含まれることが義務付けられています（クオータ制）。

選挙費用に関しても、供託金制度や落選者への国庫補助金制度が存在します。供託金は20万新台湾ドルであり、有権者総数の10%を下回る得票しか得られなかった場合は没収となります。また、当選者の得票数の1/3以上を得票した落選者には、選挙後の国庫補助金が交付されます。しかし、没収基準や補助金制度については、無所属や小政党にとって不利であるとの批判もあります。

比例代表制において、全有効投票数の3%以上の得票を得た政党には、政党交付金が交付されます。ただし、このハードルはやや高く、小政党には不利であるとの批判もあります。

選挙における地域性

台湾の立法委員選挙では、有権者の出身や地域性によって、政党支持に傾向が見られます。「泛藍」陣営と「泛緑」陣営という二大勢力が存在し、それぞれに支持基盤となる地域があります。一般的に、「泛藍」陣営は外省人、北部・東部の住民、金門県・連江県の住民、台湾原住民に支持され、「泛緑」陣営は河洛人、南部住民に支持される傾向があります。この地域性による支持傾向は、総統選挙にも影響を与えています。

歴史

立法院は1928年に設立されましたが、初期は国民政府による任命制でした。1946年の中華民国憲法制定により憲政期に移行し、1948年に初めて選挙が行われ、773名の立法委員が選出されました。しかし、国共内戦の結果、大陸部選出議員の選挙は事実上不可能となり、台湾に脱出した議員が「万年議員」として長期にわたって職務を継続することになります。

戒厳令下では、「万年議員」問題が大きな政治課題となりました。政府は、大陸部選出議員の任期を無期限延長し、台湾住民の民意を反映しない状況が続きました。しかし、1969年以降、人口増加を理由に一部改選が行われ、徐々に選挙制度が変化していきます。1972年以降は「増加定員選挙」が行われ、議席数が増加しました。

1991年に「万年議員」が全員退職し、翌年から全面改選が行われました。1992年以降は民主化が進み、現在の小選挙区比例代表並立制が導入される2008年まで、選挙制度は幾度となく変更され、議席数も変遷しています。

選挙制度をめぐる議論

中華民国の立法委員選挙制度は、一票の格差、阻止条項、政党交付金のハードルなど、様々な課題を抱えています。これらの課題は、小政党や無所属候補の参入を困難にし、政治的多様性を阻害する可能性も指摘されています。今後も、選挙制度の改善に向けた議論が続けられることが予想されます。

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