中部配電

中部配電株式会社の歴史

中部配電株式会社は、1942年から1951年まで中部地方において電力供給業務を行った企業です。この会社は、太平洋戦争中に統合されたものであり、愛知、岐阜、三重、静岡、長野の5県を配電区域としていました。本店は名古屋市に置かれ、設立当初の資本金は2億円でした。

設立の背景

中部配電は、配電統制令に基づき設立された配電会社の一つであり、設立にあたっては、11の主要電気事業者が統合して行われました。設立のための準備は1941年に始まり、1942年3月30日に名古屋市で創立総会が開かれました。設立後は、国内の発電・送電システムと連携して、地域の電力需要に応える体制が整えられました。

統合と配電業務の拡大

設立からわずか一年で中部配電は49の小規模電力会社を統合し、配電業務を拡大しました。これにより、ほぼ全ての配電業務を一手に引き受けることができるようになり、地域の電力供給を安定化させました。しかし、同時に一部の大口顧客は日本発送電からの直接供給を受けるなど、課題も残されていました。

戦後の変遷

1946年には配電統制令が失効し、中部配電は通常の株式会社としての運営体制に移行しました。その後の1950年には、電気事業再編成に伴い、中部配電は解散の道をたどることとなります。解散時には資産の大部分を中部電力へ引き継ぎ、新しい統合型電力会社へと再編されました。

戦時下の経営

中部配電の設立当初から、戦時下での電力供給は困難を極めました。開業当初の自社発電所は数多くあったものの、その出力は小規模で、全体の電力供給の大部分は日本発送電からの受電によって賄われていました。これは、戦時体制下での軍事需要に対応するため、民間電力供給が徐々に制限される中での選択でした。

解散とその後

1951年5月1日、電気事業再編成が実施され、中部配電は解散します。この際、中部電力に資産負債の大部分が引き継がれ、自社の発電所は再編成を通じて他の関連会社とともに新しい体制に組み込まれました。中部電力はこの再編成によって、発電から配電までの一貫した経営を実現し、今日の電力供給体制の基盤が築かれることとなります。

結論

中部配電の歴史は、日本の電力供給史の重要な一部を成しており、国の電力政策や社会の変遷と深く関連しています。1951年の解散を経て、その役割は中部電力に引き継がれ、今もなお地域の電力供給に貢献しています。

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