中里融司

中里融司

中里融司（なかざと ゆうじ、1957年2月4日 - 2009年6月18日）は、日本の小説家、漫画原作者、戦史研究家として活躍した人物です。日本SF作家クラブの会員でもありました。

生涯

東京都杉並区出身。武蔵大学経済学部を卒業後、一時銀行員として社会人生活を送ります。しかし、体調を崩して退職。その後、漫画家を目指し、白泉社の月刊『アニマルハウス』で漫画原作者としてデビューしました。近石雅史とのコンビで『鬼十郎妖戦録』シリーズなどを手がけました。

『アニマルハウス』休刊後、小説家へ転身。『冒険商人アムラフィ』で第1回電撃ゲーム小説大賞銀賞を受賞し、『坂東武陣侠』で歴史群像大賞優秀賞を同時受賞するという華々しいデビューを飾ります。以降、ライトノベルや架空戦記を中心に執筆活動を展開。時代小説や漫画原作にも挑戦するなど、創作の幅を広げました。また、戦史研究家としても、近世以前の会戦に関する研究書を発表しています。

その執筆速度は非常に速く、精力的に作品を発表し続けました。しかし、長年潰瘍性大腸炎を患っており、2009年6月18日、大腸癌のため、52歳という若さで亡くなりました。

作風と評価

中里融司は、複数のジャンルを横断する作風が特徴です。例えば、時代小説にライトノベル風のキャラクター造型を取り入れるなど、ジャンルの垣根を越えた手法で独自の作品世界を構築しました。

架空戦記においては、アニメ、漫画、特撮などのパロディを多用する一方、美少女の姿をした軍艦の精霊「船魂」が登場する『軍艦越後の生涯』や、『ゲッターロボ』をモチーフとした合体戦艦大和が登場する『龍神の艦隊』など、奇抜な設定の作品も手がけました。これらの作品は、その斬新なアイデアが評価され、人気を博しました。

自他ともに認めるロボット少女好きであり、ライトノベル作品にはロボット少女がヒロイン級のキャラクターとして登場することが多くありました。海洋冒険小説への造詣も深く、架空戦記『東の太陽 西の鷲』には英海軍の戦艦として「ボライソー」が登場します。

主な作品

ライトノベル
冒険商人アムラフィ
狂科学ハンターREI
デモンズサモナー
メタリックエンジェル
竜戦姫ティロッタ
ドラゴン・パーティ
黎明の戦女神（アテナ）
架空戦記
坂東武陣侠 信長を討て!
北の雷鳴〜北方の獅子王グスタフ・アドルフ対魔王ヴァレンシュタイン〜
英雄交響曲 ナポレオン群星伝
東の太陽 西の鷲
戦国覇王伝
龍神の艦隊
時代小説
寛永妖星浄瑠璃
討たせ屋喜兵衛
お歌舞伎夜兵衛颯爽剣
影町奉行所疾風組
同行屋稼業
漫画原作
鬼十郎妖戦録
狂霊捜査官REIJI
大海戦!無敵戦艦「越後」
戦海の海女神（テティス）

中里融司は、ジャンルを越境する自由な発想と、多岐にわたる知識を活かした作風で、多くの読者を魅了しました。その早すぎる死は、惜しまれています。

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