中里遺跡 (小田原市)

中里遺跡の概要

中里遺跡（なかざといせき）は、神奈川県小田原市に存在する弥生時代の集落遺跡であり、関東地方における弥生時代の集落としては最も古いものの一つと考えられています。本遺跡からは多くの出土品が発見されており、それらは県の有形文化財に指定されています。

発見の経緯

この遺跡は1952年、工場の建設始まりに際し発見され、1991年からはその工場跡地を中心に、「Dynacity」というショッピングセンター建設の一環として詳細な発掘調査が行われました。この調査により、弥生中期前半の時代にさかのぼる竪穴建物跡や掘立柱建物跡が次々と発見されました。

主な発見物

発掘調査においては、計102棟の竪穴建物跡と73棟の掘立柱建物跡が発見されました。また、方形周溝墓と呼ばれる埋葬施設もみられ、集落の文化や生活スタイルに関する貴重な情報を提供しています。特に土器においては、地元で作られた中里式（須和田式）のものが数多く出土し、さらには瀬戸内海東部（兵庫県周辺）の土器型式も見つかっています。このことは、近畿地方からの移住者が地元の人々と共に過去の水田耕作を行っていたことを示唆しています。

環濠集落の痕跡

さらに、発掘調査の南西側では弥生時代後期から古墳時代前期にかけての環濠集落の一部分も確認されています。中里遺跡は、その文化的・歴史的背景を持つ重要な遺跡であり、過去の人々の生活やコミュニティの形成過程を理解する手助けとなる貴重なデータを提供しています。

現状と保存状態

現在、遺跡の大部分は発掘調査が終了しており、現存していない部分が多いですが、一部は地中に保存されています。その中で、ショッピングセンター内には「中里遺跡ポケットパーク」が設置されていて、竪穴建物跡を模したモニュメントがあるなど、地域の文化遺産を学べるスペースが提供されています。

神奈川県指定重要文化財

中里遺跡の一部で出土した弥生時代中期の品々141点は、2019年の9月17日に神奈川県の重要文化財として指定を受けており、その重要性が認識されています。

参考文献と関連項目

一般の人々が遺跡をより深く理解できるよう、小田原市教育委員会が発行した書籍『中里遺跡－東日本最大・最古級の弥生集落－』は、この遺跡の歴史的背景や価値について詳細に説明しています。その他、環濠集落や小田原Dynacityと関連する情報も、地域の文化を理解するための手掛かりとなるでしょう。

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