中野与吉郎

中野与吉郎について

中野与吉郎（なかの よきちろう）は、1894年（明治27年）8月24日に生まれ、日本の内務・警察官僚、弁護士として活躍しました。旧姓は住田といいます。彼の足跡は、内務省での官僚としての活動、県知事としての行政手腕、そして弁護士としての法律実務に及びます。

生い立ちと学歴

滋賀県出身の中野与吉郎は、第三高等学校を経て、1919年10月に高等試験行政科試験に合格しました。1920年には東京帝国大学法科大学を卒業し、内務省に入省しました。彼のキャリアは、ここから本格的にスタートします。

内務官僚としてのキャリア

内務省入省後、中野は大阪府属兼大阪府警部としてキャリアをスタートさせます。その後、島根県書記官・学務部長、群馬県書記官・警察部長、福井県書記官・警察部長、宮城県書記官・警察部長といった要職を歴任し、地方行政の中枢で活躍しました。さらに、内務書記官兼警察講習所教授、警保局警務課長、神奈川県書記官・総務部長、内務省土木局河川課長などを務め、中央官僚としても重要な役割を果たしました。

福井県知事としての活動

1937年11月、中野与吉郎は福井県知事に就任しました。県知事として、彼は戦時体制の整備と結核撲滅に尽力しました。この時期、日本は戦争へと向かう中で、地方行政もその影響を大きく受けていました。中野は、このような状況下で県民の生活を守るために、様々な政策を推進しました。

神社局長と三重県知事

1939年4月、中野は内務省神社局長兼造神宮副使に転じます。その後、1940年4月には三重県知事に就任しました。三重県知事としても、戦時体制下での県政運営に力を注ぎ、県庁機構の改革や青年学校の振興などに取り組みました。これらの政策は、当時の国策に沿ったものであり、彼の行政手腕を示すものです。

退官とその後

1942年10月、中野は知事を依願免本官となり退官しました。その後、大阪府食糧営団理事長を務め、戦時中の食糧管理にも関わりました。また、弁護士としても開業し、法律の専門家としての知識と経験を活かしました。

戦後の公職追放

戦後、中野与吉郎は公職追放の対象となりました。これは、戦時中の公務員としての活動が問題視されたためです。しかし、彼の行政官僚としての功績と、その後の弁護士としての活動は、多岐にわたるものでした。

栄典

中野は、その功績により以下の栄典を受けています。

1940年（昭和15年）8月15日 - 紀元二千六百年祝典記念章
1941年（昭和16年）12月9日
満州帝国：勲三位桂国章
満州帝国：建国神廟創建記念章

これらの栄典は、彼が国や社会に貢献した証と言えるでしょう。

まとめ

中野与吉郎は、内務官僚として地方行政から中央官庁まで幅広い経験を持ち、福井県と三重県知事として戦時体制下での行政に尽力しました。また、弁護士としても活動し、その多才ぶりを発揮しました。彼の生涯は、日本の近代史における官僚の役割と、激動の時代を生き抜いた人々の姿を伝えています。

もう一度検索