中野勝義

中野勝義

中野勝義（なかの かつよし、1904年8月10日 - 1960年11月16日）は、日本の実業家であり、全日本空輸（全日空）創立の中心人物として知られています。その生涯は、日本の航空業界の発展に大きく貢献しました。

生い立ちと学歴

1904年、北海道上川郡東旭川村で、中野光造の次男として生を受けました。旭川中学校を経て、1924年に法政大学予科に入学。1930年には法政大学法文学部仏法科を卒業しました。

朝日新聞社での活動

大学卒業後、朝日新聞社に入社し、日本学生航空連盟の理事などを務めました。この間、法政大学の軽飛行機「青年日本号」や、朝日新聞の「神風号」の訪欧飛行の実現に尽力するなど、航空分野での活動を積極的に展開しました。

大日本飛行協会での活動

1940年には大日本飛行協会の参与に就任し、1942年に朝日新聞社を退社。その後、大日本飛行協会の常任参与・庶務部長に就任し、出版部門を拡大。「飛行日本」「飛行少年」の二つの雑誌を創刊しました。また、1944年には大日本滑空工業専門学校と法政大学航空工業専門学校の設立にも携わりました。

戦後の活動と全日空設立

終戦後、航空関係者の失業救済のため、朝日新聞時代の上司であった美土路昌一とともに興民社を設立。美土路が会長、中野が専務理事に就任しました。その後、1952年には日本ヘリコプター輸送株式会社を創立し、1957年に全日本空輸株式会社に名称を変更。中野は常務取締役、後に副社長として経営に携わりました。

突然の死

1960年11月16日、搭乗していた自社小型機が帯広で墜落し、56歳という若さで急逝しました。その突然の死は、多くの関係者に衝撃を与えました。

人物像

中野は、その情熱的な性格と冷静な判断力で、多くの人から信頼されていました。全日空の関係者は、「中野の存在がなければ全日空はなかった」と語り、事業推進の行動隊長であり、社員にとっては良き兄貴分だったと述べています。美土路昌一は、中野を次期社長に考えており、中野の死に際して「両腕がもがれた思い」と深い悲しみを表明しました。

作家の野上弥生子も、中野を偲び「思ひいで」の中で、その人柄を回想しています。

内田百閒との関係

学生時代に、中野は日本の大学で初めてとなる航空研究会を設立し、内田百閒を会長に迎えました。それ以来、内田の愛弟子として親交を深め、内田は中野の死後、「空中分解」という著作でその死を悼んでいます。

その他

テレビ東京の番組「ルビコンの決断」では、中野勝義の生涯がドラマ化され、俳優の今井雅之が中野役を演じました。また、旧陸軍のエースパイロットであった加藤建夫とは、旭川中学時代の同期生であり、同郷でした。

参考文献

『全日空闘魂物語』（三天書房、1986）
『昭和人名事典II 第1巻東京篇』（日本図書センター、1989）
『間抜けの実在に関する文献-内田百閒集成6-』（筑摩書房、2003）
『現在窮乏、将来有望-評伝 全日空を創った男 美土路昌一-』早房長治（プレジデント社、2009）

関連項目

法政大学の人物一覧

外部リンク

日本航空協会-WEB版「航空と文化」-航空機乗員養成所物語(26)-民間航空の再開-
* 空に生き、空に死す 〜法政と航空の発展に尽力した中野勝義〜 法政大学

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