中野友禮

中野友禮の生涯と業績

中野友禮（なかの とものり、1887年2月1日 - 1965年12月10日）は、日本の著名な実業家として知られています。彼は中野式食塩電解法の開発により、日曹コンツェルンを築き上げました。その生涯は、数々の業績と変革を経て、戦後の困難な時代にも挑んだことで彩られています。

幼少期と教育

中野友禮は福島県の大沼郡川西村に、旧会津藩士の家に生まれました。彼の父親は神尾彦之進であり、幼少期には中野家の養子として育ちました。中学校は旧制会津中学校を卒業し、その後は一高の臨時中学校養成所に進みました。彼は優れた学業成績を持ち、1908年には京都帝国大学理学部の化学教室で助手として活動を開始します。

技術の開発と企業の設立

中野は、化学の専門知識を生かして中野式食塩電解法（電解ソーダ法）を開発し、特許を取得しました。この技術を基にして1920年、彼は日本曹達を設立し、苛性ソーダやさらし粉などの生産を始めます。第一次世界大戦が引き起こした経済的混乱の中でも、彼の会社は順調に成長を続け、多くの新製品の製造を可能にしました。

コンツェルンの拡大

時が経つにつれ、中野は「芋づる式」と称される独自の事業展開を進め、無機化学から有機化学、人絹、金属精錬、さらには鉱業へと進出しました。このような取り組みにより、彼の企業は急速に成長し、1940年までには傘下企業が42社にまで増加しました。こうして彼の事業は日曹コンツェルンと呼ばれる大規模な財閥へと成長しました。

経済的困難と組織再編

ところが、急激な成長に反比例して資金面での困難が生じました。日曹コンツェルンは金融機関を所有しておらず、国家資金への依存を余儀なくされました。また、中国との戦争が長引くと、国内経済は不安定になり、傘下の企業でも不採算となるところが出始め、業績は次第に悪化しました。

こうした中でも、中野は陸軍からの軍需物資の増産要請を受け、銀行融資の取り付けを迫られました。これにより彼は1940年に社長を退くことになりましたが、その後も彼の事業は形を変えつつ続いていきます。

戦後の生活

戦後、中野は日本曹達を追われ、政府機関の企画院に関わるようになりました。彼は新たな研究機関を作るよう要請され、当初はいささか不安を抱えながらも協力する道を選びました。中野は有馬登良夫を企画院に送り込み、協力体制を築きました。

戦後は製塩事業に着手するものの、成果は思わしくなく、晩年は失意の日々を送ります。1949年には脳溢血に襲われ、1965年には再度の脳溢血で意識を失い、そのまま逝去しました。彼の生涯は、逆境にさらされながらも挑戦を続けた実業家の姿を映し出しています。

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