中野竹子

中野竹子：会津の烈女、その生涯と最期

中野竹子は、幕末の会津藩に生まれた女性です。雅号を小竹といい、中野小竹とも呼ばれます。会津戦争において、自ら婦女隊を組織し、勇敢に戦って戦死しました。その姿は、しばしば烈女と称えられます。

生涯

竹子は、会津藩士である中野平内の長女として、江戸の藩邸で生まれました。幼少の頃から聡明で、5～6歳の時には小倉百人一首を暗誦できたといいます。容姿端麗で、男勝りの性格だったと伝えられています。妹の優子も美人で、会津美人として評判でした。

父の平内は書道の達人であり、竹子の教育に熱心でした。同藩士の赤岡大助に竹子を師事させ、文武両道を学ばせました。竹子の才能に驚いた大助は、平内に請うて竹子を養女に迎えました。

14～15歳になる頃には、経書や史書を修め、詩文や和歌を嗜むようになりました。また、黒河内兼規に薙刀術と短刀術を学び、薙刀は免許皆伝の腕前に達しました。書家の佐瀬得所にも書を学び、備中庭瀬藩の藩主夫人の祐筆を務めたこともあります。養父・大助の甥と結婚する予定でしたが、戊辰戦争が勃発したために婚約を解消し、家族と共に会津へ帰郷しました。

会津では、坂下村で婦女子に学問や薙刀を教えました。ある時、竹子が庭で行水をしていると、それを覗き見する男がいました。竹子は薙刀で男を追い払ったという逸話が残っています。

会津戦争と最期

慶応4年（1868年）8月23日、新政府軍が会津に侵攻しました。竹子は「身は弱き女なれど、君国の危急を傍観するは忍び難い」として、母や妹、親族や友人らと共に婦女隊を結成しました。当初、会津藩は「婦人まで戦わせると嘲られる」として参戦を許可しませんでしたが、竹子の熱意が認められ、古屋佐久左衛門の衝鋒隊に加わることになりました。

8月25日、涙橋において、衝鋒隊は新政府軍と交戦しました。婦女隊も薙刀を手に奮戦しましたが、竹子は敵の銃弾を受けて額を撃ち抜かれ、戦死しました。享年20歳。

竹子は、自分の首を敵に渡すことを潔しとしませんでした。そのため、母と妹は敵を薙ぎ払い、竹子の首を介錯し、持ち帰りました。首は後に、会津坂下町の法界寺に埋葬されました。辞世の句は「もののふの 猛き心に くらぶれば 数にも入らぬ 我が身ながらも」です。

死後

竹子の死後、母や妹は鶴ヶ城に入り、山本八重らと共に籠城戦を戦いました。竹子の武勇は、会津の人々に語り継がれ、今もなお、会津のシンボルとして慕われています。

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