中間派 (香港)

香港の中間派：建制派と民主派の狭間で

香港の中間派とは、政治的な立ち位置が建制派（親政府派）と民主派（反政府派）の中間に位置する政治勢力のことを指します。これらのグループは、必ずしも統一された政治的傾向を持っているわけではなく、それぞれ異なる主張を持っていますが、共通して理性と理論に基づいた議論を重視する姿勢を持っています。

中間派の政治思想

中間派に属する各政党や団体の政治的立場は、それぞれ異なっています。例えば、專業動力は政治的な色合いが薄く、人々の生活に密着した現実的な政策を重視しています。彼らは、民主主義の原則を尊重しつつも、他者の利益を損なうことなく、節度ある戦いを展開しようとします。一方、民主思路は、中央政府とのコミュニケーションを重視し、2014年の雨傘運動や2016年の香港旺角騒乱における暴力行為には反対の立場をとっています。また、新思維は、香港の与党である民建聯を支持する立場を表明しています。

立法会（香港の立法府）で唯一の中間派の代表である陳沛然は、西九龍駅の内地口岸区の設置には賛成しましたが、議事規則の改正には反対しました。彼は自らを「中間黄色の民主派」と表現しており、その政治的な立ち位置の複雑さを示しています。

政府との関係

中間派は、建制派と民主派の両方から独立した立場を保ちながらも、中国大陸や香港政府との交流が多いことが特徴です。例えば、湯家驊は行政会議のメンバーに任命され、新思維の周奕希は中国大陸の肇慶市政協のメンバーを務めています。また、元議員の黃成智は政府から住宅局の委員に任命され、專業動力の方國珊は区議会選挙で親中派団体から推薦を受けています。

このような政府との関係の深さから、民主派からは「政府に近づきすぎている」と批判されることもあります。特に、民主派は中間派が政府に協力する姿勢を「投共（共産党に寝返った）」や「華麗轉身（華麗なる転身）」と非難することがあります。

関係組織

中間派には、以下のような主要な組織が存在します。

民主思路：召集人は湯家驊です。中央政府との対話を重視する立場を取っています。
專業動力：召集人は方國珊です。生活に密着した現実的な政策を重視しています。
新思維 (香港)：主席は狄志遠です。民建聯を支持する立場を表明しています。
希望聯盟 (香港政黨)：田北俊が設立した政党で、曾俊華、袁彌昌、鍾國斌など、ビジネス界出身者が多く所属しています。「非青、非黄の中道」を掲げています。

関係した人物

中間派に関係する主な人物として、以下のような人々が挙げられます。

立法会議員
陳沛然（独立、医学界、中間偏民主派）
区議員
張展鵬（專業動力、西貢区）
方國珊（專業動力、西貢区）
張美雄（專業動力、西貢区）
その他の関係者
田北俊（自由党名誉会長、現在は希望聯盟創設者）
曾俊華（元香港特別行政区政府財政司司長、現在は希望聯盟所属）
周梁淑怡（自由党名誉会長、現在は希望聯盟メンバー）
袁彌昌（元民主思想および新民党メンバー、現在は希望聯盟メンバー）
李啟迪（《香港民族論》の作者の一人、現在は希望聯盟成員）
潘焯鴻(中間偏黃(民主派)自認、現在は希望聯盟成員)
梁家騮（前立法会議員、医学界）
黃成智（前立法会議員、前新思維、民主党成員）
狄志遠（前立法局議員、新思維、前民主党成員、政治立場は中間偏建制派）
鄭承隆（前監警会委員、新思維副主席）
杜本文（以前東区区議会区議員）
李繼雄（以前灣仔区議會区議員）
王維基（香港電視網絡主席、以前自由党成員、政治立場は中間偏民主派)
任亮憲（以前社民連と人民力量の成員）
黃梓謙（前民主思路総会召集人）
馮檢基（前立法会議員，前香港民主民生協進会成員、自分の立場は民主派を自認）

まとめ

香港の中間派は、建制派と民主派の二極化が進む中で、独自の政治的立場を模索しています。彼らは、理性的な議論と現実的な政策を重視し、香港の安定と発展に貢献しようとしています。しかし、その政府との関係の深さから、民主派からは批判されることも少なくありません。中間派の今後の動向は、香港の政治情勢を考える上で重要な要素となるでしょう。

関連項目

民主派 (香港)
建制派 (香港)
自決派、香港本土派、非建制派
改憲派 (香港)
民主派 (マカオ)、親中派 (マカオ)
泛藍連盟、泛緑連盟、泛橘連盟
第三勢力

もう一度検索