中黒

中黒の役割と用法

中黒（なかぐろ）は、点を書いたような「・」の形をした約物であり、その呼び名は様々です。例えば、中点（なかてん）や中ぽつ（なかぽつ）、黒丸としても知られています。本来発音されることはありませんが、必要に応じて「てん」や「ぽつ」、時には「ぽち」と呼ばれることもあります。特に新聞記事等では全角の中黒が縦書きの際に小数点の代わりとして使われるなど、活用の幅が広いです。

各言語における中黒の使用

ラテン文字

Unicodeにおいて、ラテン文字での中黒はU+00B7 (·) で表されます。ラテン語では語中の区切りとして使用されています。例として、"DONA·NOBIS·REQVIEM"という表記が挙げられます。これにより、言葉の意味を明確に区切ることができます。

英語

英語では「middle dot」や「raised dot」、「interpunct」などの呼び名があり、1970年代まではイギリスにおいて小数点を表すためにも使用されていましたが、コンピュータの普及によってその使用頻度は減少しました。

カタルーニャ語

カタルーニャ語の場合、二音節に分かれる二つのlの間に中黒を挿入し、音を明確に分ける役割を果たしています。例としては「col·lecció」があり、発音時に誤解を避けるための工夫がなされています。

アルピタン語

アルピタン語でも中黒が音の区別に使われ、特定の音に対して中黒が挿入されているのが特徴です。例えば「ch·」は/ʃ/を表し、「j·」は/ʒ/を表します。

日本語

日本語において中黒は主に単語の区切りに利用され、特に合成語の内での用法として顕著です。UnicodeではU+30FB (・) が使用され、例えば「食品・雑貨売り場」や「東京・新大阪間の切符」といった文脈で見られます。このように中黒を使うことで、言葉のつながりや意味をより明確にできます。

外来語の場合でも、中黒が効果的に機能し、例えば「パーソナル・コンピューター」や「トム・クルーズ」といった表記が一般的です。特に長いカタカナ複合語では略すことが推奨されていることも多いです。

また、人名の区切りにも使われ、例えば「鈴木一郎・山田商事社長」のように、地位や役職を意識した文脈で用いられます。

縦書きと数学での利用

縦書きの文書では、小数点を示すためや、電話番号、郵便番号の区切りに中黒が使われることがあります。また、数学においても中黒は運算記号として利用され、数式中での乗算やベクトルのスカラー積を表示する際に用いられます。例えば、2 ⋅ 3 = 6やa ⋅ bという形でよく見受けられます。

他の書記体系

中黒は他の言語や記号体系でも利用されています。グルジア語ではコンマとして、またギリシャ語ではセミコロンに相当する記号として使用されています。さらに、中国語でも中黒を使った区切りの表示が一般的で、例えば「約瑟夫·海頓」のように、姓と名を明確に分ける役割を果たします。

中黒はその形状から、一見すると簡単な記号に見えるかもしれませんが、その機能性や重要性は言語や文脈によって多岐にわたり、さまざまな場面で活躍する不可欠な要素であると言えるでしょう。

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