セミコロン

セミコロン：コンマとピリオドの間にある句読点

セミコロン（;）は、欧文の句読点の一つで、コンマ（,）とピリオド（.）の中間的な役割を果たします。見た目は、ピリオドの上にコンマを乗せたような形をしています。日本語の文章ではあまり使用されませんが、プログラミング言語や数学の分野では頻繁に登場し、重要な役割を担っています。

セミコロンの歴史

現代的な意味でのセミコロンが初めて印刷物に使われたのは、1494年にイタリアのアルドゥス・マヌティウスが出版したピエトロ・ベンボの『デ・エトナ』と言われています。人文主義者たちが、コンマとピリオドだけでは表現しきれない微妙な区別を必要としたことから生まれたとされています。

英語圏では、19世紀前半には並列節の区切りとして広く使われていましたが、1880年代以降は、その使用頻度は減少傾向にあります。文法家の中には、独立した文の区切りや、長い箇条書きの下位区分にのみ使用を限定するよう主張する者もいます。有名な例として、ウンベルト・エーコの『薔薇の名前』にはセミコロンが一度も使用されておらず、カート・ヴォネガットは自身の作品『国のない男』の中でセミコロンの使用を批判したことが知られています。

日本語では、セミコロンは「強い読点」または「弱い句点」として捉えることができます。明治時代には、一部の作家がセミコロンの代わりに白ゴマ点を用いる試みが行われたこともありました。

セミコロンという名称は、「半コロン」を意味します。ドイツ語（Strichpunkt）、フランス語（point-virgule）、イタリア語（punto e virgola）、ロシア語（точка с запятой）など、多くの言語でセミコロンの名称は「点とコンマ」を意味する言葉となっています。英国では、1568年出版のチェスの手引きが、セミコロンの初出とされています。

英文における用法

英語において、セミコロンは「強いコンマ」または「弱いピリオド」として機能します。例えば、コンマで区切られた6つの項目を、前半3つと後半3つに分類したい場合、3つ目の項目の後にセミコロンを置くことで、より明確な区切りを示すことができます。また、互いに関連性のある2つの独立した文を繋げたい場合にも、セミコロンを使用します。この場合、セミコロンは最初の文の終止符の代わりとして機能します。

その他の言語における用法

ギリシャ語では、セミコロンの形をした記号が疑問符として使用されます。しかし、ギリシャ語でセミコロンと同じ機能を持つのは、実際には中黒です。

コンピュータにおける用法

多くのプログラミング言語において、セミコロンは重要な役割を果たします。C言語、Ada、SQLでは文の終わりを示し、ALGOLやPascalでは文と文の区切りを示します。Pascalでは、仮引数の区切りとしても用いられます。シェルスクリプトやPythonでは、1行に複数の文を書く際に文と文の区切りとして使用されます。BASICのPRINT文では、複数の値を続けて出力するために使用され、文末にセミコロンを置くことで改行を抑制できます。LISPやアセンブリ言語では、コメントの開始記号として用いられることもあります。SGMLやXMLでは、文字参照の終わりを示し、データの区切り（例：Microsoft WindowsのPATHやデータベース接続文字列）にも使用されます。

数学における用法

数学では、関数の引数リストにおいて、変数やパラメータを区切るために使用されます。また、構造を表す際にも、領域、関数のリスト、関係のリストなどを区切るために用いられます。

符号位置

Unicodeでは、U+003Bに割り当てられています。

参考文献

Watson, Cecelia (2012). “Points of Contention: Rethinking the Past, Present, and Future of Punctuation”. Critical Inquiry 38 (3): 649-672. JSTOR 10.1086/664555.

関連項目

コロン（:）
逆セミコロン（⁏）
* アラビア語セミコロン（؛）

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