串木野純也

串木野 純也（くしきの じゅんや、本名：串木野 光夫、1954年4月5日 - ）は、宮崎県東諸県郡出身の元プロボクサー。第29代日本ウェルター級王者として、特にその破壊力のある右ストレートと驚異的なノックアウト（KO）率で知られています。

キャリアの変遷

串木野は1972年11月29日にプロデビューを果たし、初回をTKO勝利で飾りました。しかし、早くも2戦目で判定負けを喫し、一度はリングを離れて自衛隊に入隊します。自衛隊体育学校でアマチュアボクシングに取り組んだ彼は、1975年には全日本選手権と全日本社会人選手権でそれぞれ3位に入るなど、才能を開花させました。この経験を経て、1976年にプロボクシング界に再デビューを果たします。

再デビュー後は、階級をウェルター級からミドル級までと定め、多くの強豪選手と拳を交えました。日本人選手だけでなく、朱虎、林載根、李萬徳、黄忠載といった韓国の世界ランカークラスとも対戦を重ねました。これらのキャリアには、OPBF東洋太平洋ジュニアミドル級、OPBF東洋太平洋ウェルター級、そして日本ジュニアミドル級といった主要タイトルの挑戦も含まれますが、いずれも王座獲得には至りませんでした。この時期の戦績は必ずしも安定していたわけではなく、25戦を終えた時点で14勝（10KO）11敗（6KO）というものでした。

王座への挑戦と獲得

日本ウェルター級王座への道は険しいものでした。1980年7月1日、21戦目にして当時の王者、亀田昭雄に挑みますが、亀田のボディ攻撃に屈し8ラウンドKO負け。しかし、1981年9月7日に行われた亀田との再戦では、前回の雪辱を期す熱戦を繰り広げました。結果は惜しくも小差の判定負けでしたが、9ラウンドには右フックからの追撃で、後に世界挑戦を控えていた王者・亀田から痛烈なダウンを奪うなど、その強打の片鱗を見せつけました。この試合は串木野にとって大きな転機となり、技術面、精神面の両面で更なる成長を遂げるきっかけとなりました。同年10月13日、亀田が返上した日本ウェルター級王座の決定戦に臨みますが、ダイナマイト松尾に判定負けを喫し、またしても王座獲得はなりませんでした。しかし、翌1982年1月18日、松尾との再戦で9ラウンドKO勝利を収め、ついに悲願の日本ウェルター級王座を獲得しました。

圧倒的な防衛記録

王座を獲得してからの串木野は、その真骨頂を発揮しました。約3年半に及ぶ王座在位期間中に、実に13度もの防衛に成功しました。特筆すべきは、これらの防衛戦での圧倒的なKO率です。13度の防衛戦のうち、12試合をKOで勝利するという驚異的な記録を打ち立てました。この中には、日本王座における最多連続KO防衛記録となる10戦連続KO勝利が含まれています。さらに、王座獲得前の連勝を含めると、通算で12戦連続KO勝利という、日本のボクシング史に燦然と輝く記録も達成しています。その強打は多くの挑戦者をマットに沈め、「KOキング」と称されるにふさわしい活躍を見せました。

王座陥落と引退

1985年6月6日、串木野は尾崎富士雄との防衛戦で判定負けを喫し、約3年半守り続けた王座から陥落しました。同年8月29日には、失った王座を取り戻すべく尾崎と再戦を行いましたが、TKO負けに終わりました。この頃、眼疾を発症していたこともあり、この試合を最後に現役を引退することを決断しました。

戦績と評価

プロキャリアを通算すると、44戦29勝（24KO）15敗（6KO）という戦績を残しました。特に24というKO勝利数は、そのハードパンチャーぶりを物語っています。現役時代には、その活躍が評価され、1982年度から1985年度にかけて、プロボクシング部門の年間表彰において努力賞、KO賞、敢闘賞など、複数の賞を受賞しています。

串木野純也は、逆境を乗り越え、努力と才能で日本王座を獲得し、そして記録的なKO防衛ロードを駆け抜けたボクサーとして、日本のボクシング史において重要な位置を占めています。その豪快なファイトスタイルは、多くのファンを魅了しました。

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