丸屋九左衛門

丸屋九左衛門とは

丸屋九左衛門（まるや くざえもん）は、江戸時代初期に活動した浮世絵の版元です。彼は丸屋九衛門とも呼ばれ、正本屋、草紙屋、暁鶏堂としても知られています。九左衛門の家族にあたる山本氏に属し、江戸の大伝馬町3丁目で、寛文から安永の間に版元業を行っていました。1740年代初頭に刊行された『江戸鹿乃子』には、浄瑠璃本屋として名を載せられています。

来歴と活動

彼は浄瑠璃本や草双紙、細見などを多く出版し、さらに一枚絵の作品も手掛けています。その中には著名な浮世絵師である西河吉信、鳥居清重、鳥居清倍、西村重長の作品が含まれています。特に、紅摺絵に関しては、2代目鳥居清信や富川房信などの優れた作品を取り扱い、初期浮世絵の重要な版元としての位置を確立しました。

富川房信の時代に入ると、彼は多くの自作絵本を手がけましたが、次第に経営が厳しくなり、安永の頃に業務を廃止したとされます。彼の商標である「○に山」が指す先は、丸屋九左衛門であるのか、あるいは関連のある丸屋小兵衛なのかは、未だ明らかにされていませんが、いずれにせよ版元としての評価は高いものでした。

主な作品

丸屋九左衛門の版元としての数々の作品には、以下のような浮世絵が挙げられます。彼が出版した視覚的に魅力的な浮世絵は、豊かな色彩と表現力に富んでいます。

• - 鳥居清重の『さの川まんきく』（細判、漆絵、享保）
• - 鳥居清倍の『鎌倉長九郎のめいどの小八と松嶋兵太郎の大いそノとら』（細判、漆絵、享保10年頃）
• - 西村重長の『四季之内冬 雪の梅 けいせい風』（細判、漆絵、享保）
• - 西村重長の『富士見西行』（細判、漆絵、享保）
• - 西河吉信の『傘をさした嵐和歌野』（細判、漆絵）
• - 鳥居清重の『二世市川団十郎の不破伴左衛門と大谷広次の名古屋三郎左衛門』（細判、漆絵、享保16年）
• - 西村孫三郎の『市村竹之丞の新田義貞』（細判、漆絵、享保18年）
• - 2代目鳥居清信の『市村宇左衛門の小栗判官と瀬川菊之丞の照手姫』（細判、紅摺絵、延享4年）
• - 2代目鳥居清信の『坂東彦三郎の由良之助・佐野川市松のおかる・中村助五郎の九太夫』（細判、紅摺絵、寛延2年）
• - 鳥居清広の『見立武蔵野』（大判、紅摺絵、宝暦）
• - 鳥居清重の『二代目坂東彦三郎の若侍』（細判、紅摺絵、宝暦8年頃）

これらの作品は、その時代の豊かな文化と芸術性を反映しており、浮世絵の歴史の中でも重要な位置を占めています。

まとめ

丸屋九左衛門は江戸時代の浮世絵版元として、様々な著名な作品を世に送り出した業績を持ちます。彼の出版した浮世絵は、当時の風俗や文化を知る上で貴重な資料となっており、その影響力は現在に至るまで感じられています。彼の活動は、浮世絵の歴史を彩る重要な一章として記憶されています。

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