丸山敏雄

教育者、社会教育家、そして書家：丸山敏雄の生涯

丸山敏雄（1892年-1951年）は、20世紀日本の教育・社会に多大な影響を与えた人物です。教育者、社会教育家としての顔だけでなく、書家としても才能を発揮し、戦後の日本における倫理運動の創始者として知られています。彼の生涯は、信仰、苦悩、そして社会への貢献というドラマチックな展開に満ち溢れています。

幼少期と教育への道

福岡県に生まれた丸山は、熱心な浄土真宗信徒であった父の影響を強く受けました。僧侶を志望する父に厳格な信仰教育を受け、幼少期に溺死の危機を経験したことが、後の彼の生き方に深く影響を与えたとされています。合河尋常小学校、横武高等小学校を経て、小倉師範学校に進学。首席で卒業するほどの優秀さを持ち、その真摯な態度と温厚な人柄から「孔子丸山」と呼ばれるほどの人望を得ました。

教師としての苦悩と転機

小倉師範学校卒業後、教員として福岡県内の小学校、中学校、そして長崎女子師範学校で勤務しました。しかし、長崎女子師範学校で首席教諭を務めていた頃、2つの大きな苦悩を抱えることになります。1つは、古代史研究における行き詰まり、もう1つはカトリックの生徒たちの信仰心の深さでした。これらの経験から、国体に対する揺るぎない信念を確立する必要性を感じ、首席教諭の職を辞して大学へ進学し、国史研究を深める決意を固めます。

宗教との出会い、そして弾圧

広島文理科大学で歴史・国体の研究に没頭していた丸山は、「ひとのみち教団」と出会い、入信します。厳しい修行を経て、教団の教師となり、熊本支部の再建に成功するなど、その能力を発揮しました。しかし、太平洋戦争下の弾圧を受け、教団幹部と共に検挙され、拷問を受けるという苦難を経験します。獄中での精神的苦痛は、彼に深い悔恨と同時に、大我への目覚めをもたらしました。

戦後と倫理運動の創始

終戦後、丸山は日本の再建を願って「夫婦道」を執筆し、倫理運動を実質的に創始しました。しきなみ短歌会を創設し、倫理研究所の前身となる「新世会」を結成、機関紙『文化と家庭』を発刊するなど、精力的に活動を展開します。生活改善のための相談所を開設し、『万人幸福の栞』を著すなど、人々の生活向上に貢献する活動は、多くの人々の共感を呼びました。

死後への影響

丸山は1951年に死去しましたが、彼の思想と倫理運動は倫理研究所を通じて現在も受け継がれ、多くの人々に影響を与え続けています。倫理研究所は、彼の思想に基づいた倫理教育や社会貢献活動を行い、現代社会の課題解決に貢献しています。彼の生涯は、教育、宗教、そして社会改革の全てにおいて、揺るぎない信念と実践をもって貫かれたものでした。

主要著作

『無痛安産の書』
『万人幸福の栞』
『育児の書』
『学童愛育の書』
『作歌の書』
『人類の朝光』
* 『丸山敏雄全集』

関連書籍

丸山敏雄の生涯や思想に関する書籍は数多く出版されており、彼の影響力の大きさを物語っています。これらの書籍を通して、彼の思想をより深く理解することができます。彼の功績は、単なる教育や宗教活動にとどまらず、戦後の日本の社会形成に大きな役割を果たしたと言えるでしょう。

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