倫理研究所

一般社団法人倫理研究所：日本の倫理と社会貢献活動

一般社団法人倫理研究所は、1945年9月3日に丸山敏雄氏によって設立された民間団体です。現在、理事長を務めるのは丸山敏雄氏の孫である丸山敏秋氏です。創設以来、家庭、地域社会、企業活動という三つの柱を軸に、日本社会の創造的な再生を目指し、幅広い活動を展開しています。

倫理研究所の活動

倫理研究所の事業目的は、「純粋倫理の研究並びに実践普及により、生活の改善、道義の昂揚、文化の発展を図り、もって民族の繁栄と人類の平和に資する」こととされています。この目的を達成するため、同研究所は多岐にわたる事業活動を行っています。主な事業内容は、社会教育事業、研究事業、出版・広報事業、文化事業、そして近年力を入れている地球倫理推進事業です。

これらの事業活動は、日本国内にとどまりません。中国、台湾、アメリカ、ブラジルなど、海外においても積極的に活動を行い、グローバルな視点での倫理観の普及に努めています。定期刊行物として、『新世』『倫理』といった雑誌や機関紙『倫研新報』を毎月発行し、法人会員向けには『職場の教養』を発行するなど、情報発信にも力を入れています。

宗教社会学者である塚田穂高氏は、近年の倫理研究所の活動を「日本創生」と「地球倫理の推進」を掲げ、「心直し」や「家族の大切さ」などを説くものと評しています。倫理研究所自身は宗教団体ではないと明確にしていますが、そのルーツは扶桑教の「ひとのみち教団」（現在のPL教団）にあることを認めています。一方、関西大学講師の上杉聰氏は、倫理研究所を宗教右派に属する団体と位置づけています。

歴史と沿革

倫理研究所の設立は、創設者である丸山敏雄氏の経験と思想に深く関わっています。丸山敏雄氏はかつて扶桑教の「ひとのみち教団」に所属していましたが、天照大神や教育勅語の解釈をめぐる当局による弾圧を受け、不敬罪で逮捕されました。この経験を通して、特定の神を崇拝することが排他性や独善性につながるとの考えに至り、宗教や教団との距離を置くようになったとされています。

敗戦後の1945年、丸山敏雄氏は「夫婦道」という論文を執筆し、翌年には「新世文化研究所」を設立します。その後、機関誌『文化と家庭』（のち『新世』と改題）を発刊、1948年には「万人幸福の栞」17則を定め、1951年に「新世文化研究所」を「倫理研究所」と改称しました。

その後、1966年には富士高原研修所を開設、1980年には倫理法人会を発足させ、2005年には家庭倫理の会を発足させるなど、組織を拡大・強化してきました。2013年には一般社団法人へと移行し、現在に至っています。

主要活動と関連組織

倫理研究所は、多様な社会貢献活動にも積極的に取り組んでいます。その一つが「地球倫理の推進」です。これは、地球規模の視点から、地球環境の保全や国際協力など、持続可能な社会の実現を目指した活動です。1998年には「地球倫理推進賞」を創設し、環境保全や途上国支援などに貢献した団体や個人を表彰しています。

また、中国内モンゴル自治区での植林活動や、日中大学生による植林交流活動なども行っています。さらに、全国小学生を対象とした「しきなみ子供短歌コンクール」を実施するなど、日本の伝統文化の継承にも貢献しています。

倫理研究所には、家庭倫理の会（個人会員）と倫理法人会（法人会員）という二つの主要な会員組織があります。家庭倫理の会は、倫理運動の理念に賛同する個人会員からなる組織で、倫理法人会は企業会員から構成されています。これら会員組織を通じて、倫理研究所は幅広い層への倫理教育活動を行っています。

倫理研究所を取り巻く議論

倫理研究所は、その活動内容や組織運営に関して、様々な議論の対象にもなっています。保守系政治団体である日本会議との関係や、在米組織による「歴史戦」への関与、公益資本主義推進協議会との深い交流など、その政治的・社会的影響力について様々な見解があります。

これらの議論は、倫理研究所の活動の複雑さを示しており、単に倫理教育活動を行う団体という枠組みを超えた、多角的な視点からの理解が必要であることを示唆しています。

結論

倫理研究所は、創設以来、一貫して日本の倫理と社会の向上を目指して活動を行ってきました。その活動は多様であり、国内外に影響を与えています。しかし、同時に、その歴史的背景や活動内容、関連団体との関係性など、多面的な視点からの考察が必要です。このため、倫理研究所の活動について、多様な情報に基づいた理解が求められています。

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