丸岡秀子

丸岡秀子は、1903年（または1904年説あり）に長野県に生まれ、日本の社会評論家、婦人問題評論家として生涯を捧げました。彼女は、農村女性の地位向上を追求し、教育、社会、家庭など多岐にわたる分野でその思想と活動を展開しました。

生い立ちと教育

丸岡秀子は、長野県南佐久郡臼田町（現在の佐久市）で生まれました。生母が幼くして亡くなったため、養女に出された後、生母の実家で祖父母に育てられました。長野高等女学校を経て、奈良女子高等師範学校（現在の奈良女子大学）を卒業し、教師として2年間勤務しました。この教師としての経験が、彼女の後の活動に大きな影響を与えたと考えられます。

社会活動の始まり

1929年、丸岡秀子は産業組合中央会調査部に勤務し、組織拡充のため全国の農村を巡回しました。この経験から、農村女性が抱える問題に深く関わるようになり、1937年には『日本農村婦人問題』を出版しました。この著書は、当時の農村女性の置かれた状況を詳細に分析し、社会に大きな衝撃を与えました。

戦後の活動

戦後、丸岡秀子は農村婦人協会を組織し、日本教職員組合の教研集会や全国婦人教員研究協議会で講師を務めました。1955年には、日本母親大会の開催を実現し、女性の地位向上を目指す多彩な活動を続けました。東京都社会教育委員、経済企画庁や労働省の各審議会委員なども務め、政策提言にも積極的に関わりました。

結婚と家族

1925年、丸岡秀子は富本憲吉の紹介で丸岡重尭と結婚し、一女をもうけましたが、丸岡は1928年に急逝しました。その後、調査部の同僚であった石井東一と再婚し、生涯を共にしました。彼女の私生活も、社会活動と同様に波乱に満ちたものであったと言えるでしょう。

フェミニズム運動の先駆者

丸岡秀子は、平塚らいてう直系のフェミニズム運動の先駆者の一人として知られています。彼女は、女性が命を生み育む性としての尊厳や優位性を強調し、男性中心主義の戦争に対する反戦メッセージを強く打ち出しました。その思想は多くの共鳴者を生み、戦後の女性運動に大きな影響を与えました。

記録映画と生誕100年

2006年春、丸岡秀子の生誕100年を記念して、出身地の長野県の有志が中心となり、彼女の波乱万丈な人生とその思想を再現した記録映画「丸岡秀子 ひとすじの道」が制作されました。この映画は、文部科学省の選定作品にも選ばれ、全国各地で上映されました。映画の中では、「もう夫のことを主人と呼ぶのをやめようではありませんか！」という力強い演説が収められており、彼女のフェミニズム思想が色濃く反映されています。

著書と影響

丸岡秀子は、数多くの著書を残しました。主な著書には『日本農村婦人問題』、『ひとつの真実に生きて』、『女の一生』などがあります。これらの著作を通して、農村女性の問題だけでなく、教育、家庭、社会における女性の役割について深く考察し、社会に大きな影響を与えました。

丸岡秀子の思想

彼女の思想は、女性が持つ生命力を肯定し、その尊厳を社会の中で確立することを目指していました。また、家庭における女性の役割を重要視しながらも、男性中心の社会構造に疑問を呈し、女性の自立を訴えました。

まとめ

丸岡秀子は、日本の社会評論家、婦人問題評論家として、社会の不平等に立ち向かい、女性の権利を主張し続けた人物でした。彼女の思想は、現代のフェミニズム運動にも大きな影響を与えており、その業績は後世に語り継がれるでしょう。

主な著作

日本農村婦人問題 (1937)
ひとつの真実に生きて (1952)
女の一生 (1953)
いのちへの願い 日本の母の声 (1956)
知と愛の流れ (1957)
母親入門 (1960)
物価と家計簿 (1963)
ひとすじの道 (1971)
女性が変わるとき (1975)
丸岡秀子評論集 1-10 (1978-91)
いのち、韻あり (1989)

共著・共編

教師生活 (1953)
母と女教師と (1953)
忘れられない感動の話 (1958)
よい教師になるために (1959)
父母と教師の教育勉強 (1960)
交際読本 (1962)
夫も教師妻も教師 (1962)
女教師の先輩と後輩 (1967)
女教師の家庭と職業 (1967)
女教師が教師になるには (1967)
子ども・親・教師三つどもえの教育 (1972)
親のための教育学 全4巻 (1979)
平塚らいてうと日本の近代 (1986)

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