丸橋忠弥

概要

丸橋忠弥（まるばし ちゅうや、生年不詳 - 慶安4年8月10日（1651年9月24日））は、江戸時代前期の注目すべき浪人です。彼は慶安の変における幕府打倒計画の首謀者の一人であり、非常に複雑な背景を持つ人物です。本名は丸橋忠也で、号は一玄居士として知られています。

出自と伝説

忠弥の出自についてはさまざまな説が存在しています。一説には、長宗我部盛親の庶子である盛澄が母方の苗字である丸橋を名乗ったと言われています。また、上野国や出羽国山形出身との説、元幕臣であったとする説もあります。このように、彼の出自には多くの謎が残されていますが、河竹黙阿弥の実録歌舞伎『樟紀流花見幕張』では、長宗我部盛澄説が採用されています。

武道家としての活動

忠弥は江戸・御茶ノ水にて、友人の助けを得て宝蔵院流槍術の道場を設立しました。この道場で彼は槍術の達人として名を馳せました。そして、彼は由井正雪と出会い、幕府転覆計画への参加を決意します。忠弥は、この計画において重要な役割を果たし、江戸城の攻撃を担当することになりました。

しかし、この計画は予想外の形で露見します。一味のメンバー、奥村八左衛門の密告によって、忠弥たちの計画は事前に発覚し、幕府は急いで彼らを捕縛する準備を始めました。忠弥は優れた槍使いであったため、捕縛作戦が困難であると予想されたため、幕府は一計を案じます。

捕縛と処刑

忠弥を捕らえるための計画は、「火事だ」と叫ぶことによって彼を自宅から引き出すものでした。青竹を燃やし、爆ぜた音で目を覚ました忠弥は、丸腰で外に出たところを捕らえられました。彼は母親や兄と共に鈴ヶ森刑場で処刑され、磔にされました。彼の辞世の歌は、「雲水のゆくへも西のそらなれや 願ふかひある道しるべせよ」であり、その深い思索を感じさせます。

忠弥の墓所は、東京都豊島区の金乗院および品川区の妙蓮寺に存在しています。また、彼の血を引く人物として、新選組隊士の篠原泰之進が挙げられることがあります。

演じられた忠弥

丸橋忠弥はその特異な生涯から、多くの映画や舞台で演じられました。1928年に市川右太衛門が『丸橋忠弥』で初めて演じて以来、さまざまな俳優が彼の役を引き受けています。例えば、大河内伝次郎は1930年に『素浪人忠弥』で演じ、嵐寛寿郎は1933年に同名の作品で再び彼を取り上げました。以降も小沢栄太郎、田崎潤、片岡千恵蔵など、多数の俳優たちが忠弥の物語を具現化する役割を果たしました。

こうした役者たちによる演技は、忠弥の時代背景や心情を視覚的に伝え、彼の名を未来に伝える重要な役割を担っています。彼の生涯を題材にした作品は、観客に江戸時代の状況や人々の思いを考察させる場となり、今もなおその影響力を保ち続けています。

もう一度検索